「YouTubeの時代」訳者の小林啓倫氏が切り取る「動画の時代」、連載第2回目は、位置情報と動画の関連について。
インターネットとブロードバンド、そしてカメラ付き携帯電話の普及により、「動画でコミュニケーションする」という行為は身近なものになりました。それをさらに後押ししているのが、近年の動画系ウェブサービスの進化です。YouTubeをはじめとした動画共有サービスがその第一世代とするならば、最近のスマホアプリをベースとした各種サービスの台頭によって、動画コミュニケーションは第二世代に突入したと言えるでしょう。
そうしたスマホアプリの中で人気を集めているもののひとつが、中国のメディア企業ByteDanceが提供する「TikTok」です。もう遊んでいるよ、という方も多いと思いますが、TikTokは「ショートビデオアプリ」や「ショート音楽動画共有アプリ」などと呼ばれるジャンルのアプリ。単に動画を撮影するのではなく、音楽をつけたり特殊な加工をしたり、あるいはさまざまな「お題」に応える動画をシェアしたりして楽しむという内容です。
日本では若者を中心に人気が拡大していて、惜しくも大賞受賞は逃しましたが、2018年のユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされており、それで意識するようになったという方もいるのではないでしょうか。また昨年11月にはソフトバンクがByteDanceへの出資を行っており、ビジネス面でも注目を集めています。
そんなTikTokが、最近ある会社の技術を採用しました。それはGeoGifという創業2年目のスタートアップが開発した、位置情報と連動して、特定の場所に紐づく画像加工をするという技術です。以下のスクリーンショットは、GeoGifがFacebookページで公開している動画なのですが、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港に行くと使える画像加工フィルターだそうです。
ご覧のように、JFK空港を連想させるスタンプが画像の上に上書きされ(実際はアニメーションになっていて飛行機が動いたりしています)、自分がいまいる場所をより強調するような加工をすることができます。それほど突飛な発想ではないですし、位置情報サービスの分野では似たようなサービスを見つけることができますが、確かにこんな特別なスタンプが使えたら楽しそうです。
GeoGifのFacebookページを見ると、前述のJFK空港に加え、フロリダなど数カ所で「地域限定フィルター」を用意していたようですので、こうしたコンテンツも含めての買収だと見られています。実際にByteDanceは、GeoGifが提供していたコンテンツをTikTok上で使用可能にすることを示唆しています。
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