「作れなかったものが作れる」 中国企業傘下に入った東芝ライフスタイルの今
「以前は作れなかったものが作れるようになった」——4月3日、およそ4年振りに開催した家庭用エアコンの新製品発表会で、東芝ライフスタイルでエアコン事業部長を務める鈴木新吾氏はそう語る。4年の間に親会社が代わった。
不適切会計の発覚後、経営再建中だった東芝は2016年6月、中国・美的集団(マイディア・グループ)に白物家電事業を約537億円で売却した。東芝ブランドを40年間使用できる契約を含み、東芝ライフスタイルの社名や製品の「TOSHIBA」ロゴは維持できた。
マイディアのスケールメリット、東芝の品質基準
鈴木氏は、「東芝グループは不適切な会計などでブランドを毀損(きそん)し、市場シェアを落とした」と当時を振り返る。16年以降はマイディアとのシナジーを加速させることに注力すると同時に、国内でエアコンの市場調査を一からやり直すなど基本に立ち返ったという。
調査では、2018年の猛暑で冷房の使い方に変化が起きたことが分かった。冷房の使用時間が長くなり、就寝時もつけっぱなしというケースが増えている。ただし、冷風に当たり続けることを体調がおかしくなったり、不快に感じたりする人も多かった。そこで、もともとマイディアが持っていた「無風感」技術を日本向けにアレンジして新製品「DXシリーズ」に採用。人が感じにくい形で室内に冷気を広げる。
「マイディアは年間4000万台のエアコンを製造・販売している世界第2位の家電メーカー。これまでならコスト的な問題でなかなか作れなかった製品もマイディアのスケールメリットを生かして出せた」(鈴木氏)
一方、設計からマイディアが手掛けたスタンダードモデルも投入し、価格競争力を上げた。「以前なら原価的に厳しかったような製品も投入できる」(鈴木氏)。ラインアップがそろい、テレビCMも復活させた。市場シェアも回復基調にあるという。今後は同様の手法を横展開し、冷蔵庫や洗濯機、クリーナーなど新製品を続々と投入していく。
新しい親会社とのシナジー効果が生まれている東芝ライフスタイルだが、東芝ブランドに対するこだわりも捨ててはいない。「設計がマイディアの製品でも品質チェックなどの基準は変えていない。それは日本の基準ではなく、東芝の基準だ」(鈴木氏)
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