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「au PAY」「d払い」「PayPay」還元合戦の裏にある狙い(2/2 ページ)

» 2019年04月04日 18時55分 公開
[片渕陽平ITmedia]
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「ケータイ合算払い」はドコモが先行

 au PAYに先駆け、昨年4月にスタートしたドコモの「d払い」も、支払額に応じて「dポイント」がたまるなど、既存のポイントサービスとの連携が強み。加えて、クレジットカードや銀行口座をアカウントにひも付けなくても、毎月の携帯電話料金と合算して支払える点が特徴だ。au PAYも19年夏から携帯電話料金との合算払いに対応する計画だが、この点でもd払いが先行している。

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 ドコモの前田義晃執行役員は「長らく携帯電話事業者は、顧客を『回線契約者』と認識してきたが、多くのネット企業はサービスを利用する『会員』として捉え、サービスの枠を超えてデータを蓄積し、何を提供するかを決めている。われわれもそのように取り組みたい」と発言している(昨年1月の記者会見より)。決済手数料を主な収益源としつつ、dポイントをインセンティブに顧客情報を蓄積し、ドコモやパートナー企業のマーケティングなどに生かすことを検討している。

PayPayの野望「マーケティングを高度化」

 このマーケティングへの活用に重点を置いているのが「PayPay」だ。

 昨年12月、支払額の20%か、一定の確率で全額を還元する第1弾キャンペーンを展開して、10日間で100億円相当の予算を使い果たし、一気に認知度を高めた。今年2月に始めた第2弾キャンペーンは、還元額の上限を大きく引き下げるなどし、長期間、ユーザーの少額決済にPayPayを使い続けてもらうことで、日常生活への定着を狙っている。

photo 第2弾キャンペーンの内容

 還元率がアップする条件して、Yahoo! JAPANカードや、Yahoo!プレミアム会員の情報との連携も目立つ。Yahoo! JAPAN IDとひも付いた会員情報を、さらにPayPayとも連携できれば、広告効果の可視化がしやすくなる――そんな構想が見えてくる。

 例えば、ヤフーのサイト上で広告を閲覧したユーザーが実店舗でPayPayを使って商品を購入すると、ネット広告の閲覧とリアルでの消費行動が結び付く。ヤフーの川邊健太郎社長は「どの程度ネット上に広告を露出すれば、用意した商品を全て売れるか、逆算が可能になり、メーカーのマーケティングが高度化する」と期待を寄せる(昨年10月の決算発表会より)。

 モバイル決済サービスが乱立し、利用者獲得を目指した“還元合戦”が盛り上がる裏で、各社の模索は続きそうだ。

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