「“なんとかペイ”が世の中にあふれ、ビッグデータを取得するのが当たり前になっているが、『QuoカードPay』は個人情報の登録をできる限り減らし、面倒な手続きをなくした」――。クオカードの瀧上宜哉さん(デジタルイノベーションラボ室長)は、3月26日に開いた会見でこう強調した。
「QUOカードPay」(クオ・カード ペイ)は、おなじみのプリペイドカード「QUOカード」をデジタル化したスマートフォン決済サービス。同日から全国のローソン、ナチュラルローソン、ローソンストア100(合計約1万4000店舗)で利用可能になった。
時期は未定だが、近日中に書店チェーンの有隣堂、雑貨チェーンの東急ハンズ、薬局チェーンのサンドラッグなども対応する予定。
従来のQUOカードと同様、ギフト用途を想定。送る側は専用オンラインストアでQUOカードPayを購入し、メールやSNSのダイレクトメッセージなどでURLを共有する仕組み。一度に購入できる金額は50円〜10万円で、1円単位で選択できる。
受け取る側がURLを開くと送金完了。表示されるQRコードを加盟店で提示すれば決済に使える。残高画面に送り主の名前が表示されるなど“気持ちが伝わる”仕様にした。現金との併用も可能だ。
アプリ版も提供するが、コード表示などの操作はスマホのWebブラウザ(Safari、Google Chrome)上で完結する。
最大の特徴は、銀行口座やクレジットカード番号などの個人情報を登録せずに使い始められること。他社のキャッシュレス決済サービスは、顧客情報や決済情報といったビッグデータを取得し、販売促進などに利用するのが一般的だが、クオカードはこれを一切行わない方針だ。
利用のハードルを下げつつ、透明性をアピールすることで他社サービスとの差別化を図る狙いがある。瀧上さんは「QUOカードPayの使い方は、『もらう・ひらく・みせる』の3ステップだけ。個人情報を極力取らないことで、利用者が主導権を持って使える仕様にした」と説明する。
クオカードの広報担当者も「データの取得・分析をあえて行わない理由の一つには、あくまで“ギフト”として使ってもらいたいという思いがある」と話す。
同社の近田剛社長によると、QUOカードの2018年度の発行枚数は5000万枚(700億円相当)で、年に1.2億回利用されるなど好調という。“ギフトの定番”として定着した商品を使いやすい形でデジタル化することで「これまでにないデジタルギフト文化を作っていきたい」と意気込む。
今後はTwitterやWebサイトから応募した人の中から1人に1億円相当が当たるキャンペーンを実施し、認知度向上を図っていく予定だ。業界のスタンダードに反して「ビッグデータを取得しない」という独自路線に踏み出すQuoカードPayは、キャッシュレス時代で生き残るサービスになれるか。
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