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» 2019年04月16日 19時16分 公開

なぜ出版不況の今、LINEが“小説ビジネス”を始めるのか? (2/2)

[濱口翔太郎,ITmedia]
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三木一馬氏がLINEの統括編集長に

 LINEオリジナル作品の制作に向けては、「ソードアート・オンライン」「とある魔術の禁書目録」「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」といった人気作品を手掛けてきた、日本有数のライトノベル編集者である三木一馬氏(ストレートエッジ代表取締役社長)が統括編集長に就任。著者陣のサポートを手掛けていく。

 文芸作品向けの「LINE文庫」、ライトノベル向けの「LINE文庫エッジ」の2レーベルの立ち上げも決定しており、前者には相沢沙呼氏、日日日氏、shachi氏など約60人、後者には逢空万太氏、春日みかげ氏、みかみてれん氏など約40人が“公式作家”として所属する予定だ。

 すでに、LINE文庫からは蝉川夏哉氏の「さくら堂骨董品店奇譚」、LINE文庫エッジからは鎌池和馬氏の「魔道ハッカー>>暴け、魔法の脆弱性を」などの作品を今夏にもリリースすることが決まっている。

 著作物を提供する出版社は、KADOKAWA、講談社、新潮社、集英社、文藝春秋など9社。第1弾として、宮部みゆき氏が著した「小暮写真館」シリーズ(新潮文庫)をデジタル化し、LINEノベルから配信することも決まっている。

photo LINEノベルの公式Webサイト

有望な作家の発掘も目指す

 有望な新人作家の発掘も協力して行っていく方針で、提携企業の編集者は、一般ユーザーの投稿作品を読み、気に入った場合に書籍化のオファーを出すことも可能。オファーが届いている投稿者の情報は全ての提携企業に共有され、他の出版社もオファーを出すか否かを検討できる(待遇など他社オファーの詳細は閲覧不可)

 著者の開拓は“早い者勝ち”が当たり前だった出版業界の風土を変え、小説家志望者が最も自身に合った条件を選べるようにすることで、優秀な作家のデビューを支えていく。これまでの出版業界になかった取り組みだが、LINE広報担当者は「各社は喜んで協力してくれた」と明かす。

 舛田CSMOは「読者が小説やライトノベルの楽しさを知る機会を創出するほか、新たな才能を発見し、(才能ある新人の)作品を届けられるようにする」と語る。

賞金300万円「令和小説大賞」新設

 LINEは同日、才能を発掘する施策の一環として、文学賞「令和小説大賞」を新設することも発表。第1回は4月16日〜9月30日にかけて応募を受け付け、大賞受賞者には賞金300万円を付与する他、作品が映像化される権利も贈呈する。

 審査員は、LINEノベル統括編集長の三木一馬氏、LINEの森啓執行役員、日本テレビ放送網 プロデューサーの植野浩之氏、アニプレックス プロデューサーの高橋祐馬氏が務める。

photo 「令和小説大賞」審査員のメンバー

 アイドルグループ「乃木坂46」のメンバーで小説家としても活動する高山一実さんがアンバサダーに就き、この賞を広くPRしていくことも決まった。高山さんは昨秋に出版した小説「トラペジウム」(KADOKAWA)が20万部のヒット作となった実績の持ち主だ。

 高山さんは小説家を志す人に対し、「小説を書いていると、(思考の)矢印を自分に向け、『何が正しくて、何が悪なのか』といった考え方を見つめ直す機会になる。くじけそうだったが、逃げ出すことはカッコ悪いと思って書き上げた。覚悟を決めた時点で人は大きく変わる。小説を書く前の自分よりも、書いた後の自分の方が好きだといえるので、皆さんもご自身をもっと好きになってもらうために応募してもらいたい」と呼び掛けた。

photo 「令和小説大賞」アンバサダーの高山一実さん
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