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» 2019年04月24日 16時26分 公開

平成のうちに知りたい元号のこと:「令和」公表後のシステム対応、どうなってる? (1/2)

令和まであとわずか。だが、まだシステム対応は終わらない。

[山崎潤一郎,ITmedia]

 2019年5月1日の改元を目前に控え情報システム等の改修対応に担当者は、大わらわの日々を送っていることだろう。いや、このタイミングで未だにバタバタしているようでは、「今まで何してたの」と言われそうだが、何事も予定どおりに運ばないのが「大型改修案件の恐ろしいところ」(引退エンジニア)だという。

 昭和から平成への切り替わり時と異なり、今回は4月1日の新元号公表、5月1日切り替えという形で、あらかじめスケジュールが判明している。それ相応の準備を進めていれば改修に携わる関係者への負担も少なく、スムースな移行が可能なはずだ。

 だが「システム周りの改修自体は予定どおりで特段の問題はない。それよりも画面表示や帳票への印字チェックやリハーサルの工数が多すぎて頭を抱えている」(保険代理店システム担当)とうなだれる。確かに、レガシーなシステムでもない限り改元へに対応は織り込み済みの場合が多く、ロジックを改修する程度で大きな苦労はないだろう。だが、画面表示や出力関係の印字チェックともなると、ワークフローの随所で人手による確認作業が要求される。ともすれば実際の業務と同等の時間を必要とするのではないか。

 この担当者は「画面表示や印字も西暦に統一しておけば、苦労をしなくて済むのだが、保険関連の企業は、なぜか和暦印字にこだわる」と憮然として言い放つ。実際、保険関連企業だけでなく、行政機関、銀行、歴史あるビッグネーム企業などで使用される書類や帳票の類は和暦が印字されていることがほとんどだ。ただし、みずほ銀行の様に、次期勘定系システムへの移行準備の一環として、通帳の日付印字における和暦から西暦への変更を随時実施した例もある。

間に合わない場合は手書きやゴム印等で修正

 行政や金融機関だからといって、和暦使用が法令により義務化されているわけではないのだが、昭和54年(1979)の元号法制定時の国会答弁において、「国等の公的な機関は、外交文書等特別な場合を除いて元号を使用することが当然であり、一般国民も協力を願いたい」といった趣旨の答弁が当時の所管大臣からなされた。当時の議事録(PDFへのリンク)を読むと、文化論、西暦の利便性、天皇制といった部分にまで議論が拡大しているのがわかる。

photo 1979年の官報

 「法的義務はないけど使用して『当然』」とまで言われてしまっては、行政機関は当然として、民間においてもエスタブリッシュメントな組織であればあるほど、お上に忖度して和暦を使うのは致し方ないのだろう。その考え方は、多くの組織で「令和」になってもそのまま引き継がれていくようだ。たとえば、今筆者の手元にある日本年金機構が事業主向けに毎月配布する「お知らせ」がある。ここの「納入告知書・領収済通知書」の項には、「次回送付分(5月末納付分)から新元号の表示を行います」と明記されている。

photo

 日本年金機構といえば、平成27年(2015)サイバー攻撃による個人情報流出で国民の信頼を失った過去があるだけに、他人事ながら「改修が間に合ってよかったね」という安堵感とともに、霞が関の省庁だけにこれからも和暦表示を堅持する姿勢であることがわかる。

 その一方で、関東圏のある政令指定都市のIT部門の担当者は「5月1日以後も一部のシステムで対応が間に合わない。住民の皆様に送付する書類は、手書きやゴム印等で修正する、読み替えのお知らせ文を同封するなどで対応」と明かしてくれた。実際、政令指定都市レベルのITともなると「組織全体で数百というシステムが可動しているので、和暦改修箇所の洗い出しは、統括部門として全体を把握するのは難しい」(IT担当)のが現状だという。

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