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「令和」公表後のシステム対応、どうなってる?平成のうちに知りたい元号のこと(2/2 ページ)

» 2019年04月24日 16時26分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]
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Windowsの更新プログラムを一時停止

 4月27日から10連休が控えている。だが、システムに関わる担当者にとって完全休養というわけにはいかないようだ。「4月末までにテストは予定通り完了するが、改元後の連休中にも確認や検証が必要。出勤は不可避」(中堅企業システム担当)とうなだれる。また、前出の政令指定都市の担当者も「移行後の確認などの対応で出勤する予定があり」と教えてくれた。ある大手ベンダーの担当者も「有事に備えて、連休中は最低でも自宅待機」と話す。

 「連休中より連休明けが怖い」と訴える企業のIT部門担当者もいる。社内の改元リハーサルは問題なくクリアできそうだが、実際の改元のタイミングは連休の真っ只中だ。連休が明け、現場で新元号での業務運用が開始されたとたんに問題が発生する可能性は否定できない。場合によっては、休み明けからその対応に忙殺されるということもあるというのだ。

 多くの企業で利用されているWindows OSだが、更新プログラムの適用で新元号への対応は滞りなく完了するはずだ。だが、OSの対応は完了しても更新プログラムの影響からアプリケーション側で問題が発生する可能性も否定できない。ある中堅ベンダーのマネジャーは「5月1日以降、OS内ではそれまで表示していた『平成31年』が無効化される。アプリケーション側でこれに関連する問題が発生しなければよいが……」と顔を曇らせる。

 新元号への移行作業を円滑に実施するために、事前にWindows 10 Proの更新プログラムを一時停止して対応するという事例もある。毎月実施されるWindows Updateだが、通常であれば4月10日に実行され更新プログラムが自動インストールされるからだ。「社内で印字テストやリハーサルなどを実施している真っ最中にWindowsが更新されてしまうと問題の切り分け作業混乱する」(中堅企業システム担当者)ための措置だという。Windows Updateの一時停止の有効期限は最大で35日までだ。その後、自動的に解除され更新がインストールされる。

 その一方で、業務上の理由により、外部ネットワークから隔離したWindows端末を運用しているある組織の担当者は、「アプリケーションの更新は、Windows Server Update Servicesを構築することで対応している」と明かしてくれた。

 アプリケーションメーカー自体の新元号対応が5月1日に間に合わない例もある。中小企業を中心に多くの導入実績がある FileMakerだが、顧客管理系のシステムをFileMakerで構築している小企業の幹部は「改元を機に帳票の日付印字を西暦に変えておいてよかった」と胸をなでおろす。というのは、現在社内で使用しているFileMakerのバージョンが「16」と1世代前(2017年5月発売)のため、FilaMaker側の正式対応が「2019年6月以降、準備完了次第、アップデータをリリース」となっているからだ。ちなみに、現行の「FileMaker Pro 17 Advanced」は「2019年5月にアップデータをリリース」とアナウンスされている。件の幹部は「Windowsは、2009年発売の『7』でも改元前に迅速に対応してくれるのに……」と皮肉る。

 日本中が注目した4月1日の「令和」の公表以後、多くのシステム担当者にとって記憶に深く刻まれた平成最後の1カ月であったに違いない。

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