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任天堂、Switchは「依然として成長フェーズ」 中国市場にも期待

» 2019年04月26日 13時30分 公開
[片渕陽平ITmedia]

 「Nintendo Switchのビジネスは依然として成長フェーズにある」――任天堂の古川俊太郎社長はそう話す。同社は2020年3月期(19年4月〜20年3月)、全世界でSwitchを1800万台、対応ソフトを1億2500万本売り上げる計画だ。発売から3年目に突入したSwitchだが、古川社長は「前期を上回るペースで普及が進むことを期待している」という。

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「デジタル売上高が大きく伸長している」

 任天堂が4月25日に公開した19年3月期(18年4月〜19年3月)の連結決算によると、全世界でのSwitchの販売台数は1695万台(前期比12.7%増)、ソフトの販売本数は1億1855万本(同86.7%増)。Switchの堅調な売れ行きも寄与し、同社の業績は、売上高が1兆2005億円(前年比13.7%増)、営業利益が2497億円(同40.6%増)と増収増益だった。

 古川社長は「Switchの発売以来、デジタル売上高が大きく伸長している。19年3月期は前年度の約2倍と大幅に伸び、初めて1000億円を超えた」と説明する。パッケージと併売しているダウンロード版のタイトルだけでなく、価格幅が広いインディーズゲームのタイトルや、既存のタイトルに新機能などを追加するダウンロードコンテンツの販売も伸びているという。

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 任天堂の決算説明資料では、こうした状況を踏まえると、これまで指針としていた「ハード1台当たりのソフト装着率」(ソフトの販売数÷本体の販売数)だけでは「ビジネスの状況を映し出せなくなった」と説明。代わりに累計ベースのプラットフォーム全体の売上高を本体の累計販売台数で割った「ハード1台当たりの売上高」をみると、期を追うごとに大きく上がっているという。

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 古川社長は「Switchと(従来機種の)Wiiを比較すると、そもそものハードの販売価格やバンドルの仕様も異なるため、単純な比較は難しいが、ハード1台当たりの売上高は、SwitchがWiiを上回っている」と分析している。「普及したハードの上でしっかりとしたビジネスができている。Switchのビジネスは極めて好調な状況であるといえる」(同氏)

今期の計画は?

 今後もハードの売れ行きを加速させるため“起爆剤”となる有力タイトルを立て続けに投入する計画だ。19年冬には「ポケットモンスター」シリーズ最新作「ポケットモンスター ソード/シールド」の発売を予定している。また、昨年12月に発売してヒットを記録した「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」でも、有料の追加コンテンツを提供していく。

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 さらに任天堂は4月26日、Switchの中国市場での発売に向け、中国Tencent Holdingsと共同で取り組んでいるとも発表。古川社長は「中国のネットワークコミュニケーション市場、ゲーム市場で最大規模の基盤を持つTencentと協業すれば、中国でのビジネスを最大化できる」と期待を寄せる。発売時期は未定のため、業績予想には含めていないという。

 一方、本体を小型化した廉価版のSwitchが発売されるのではないか、といった観測もあるが、決算説明会のプレゼンテーションでは、具体的な説明はなかった。

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