パナソニックの講演は、日本が提唱する「Society 5.0」時代を見据え、同社が様々な部門で行っているイノベーションプロジェクトを網羅的に紹介するものだった。日本は大量生産・大量消費社会の「Society 3.0」の中で急成長したため、画一的な教育制度やプログラムの元に社会が作られている。一方で情報化時代「Society 4.0」では、とりわけ米国が突出した成長を見せたとともに、日本は欧州企業や中国企業に追い越された。
「パナソニックは典型的なSociety 3.0時代の大企業だ。しかし今、まさに形を変えようとしている。シリコンバレーでは大企業のリソースを背景にシンプルに事業を立ち上げる『Panasonic β』を開始した。家電のネットワーク化を進める『HomeX』、形骸化されたものではなく具体的な製品化を見据えた新規事業プロジェクトの『Game Changer Catapult』も立ち上げた。中国では寿司ロボットを使った自動化寿司レストランをオープンし、渋谷には『100 BANCH』という若い世代のコミュニティを設けた。IFAがベルリンで開催される頃には、ダイムラーやシンドラー、DigitalSTROM(ドイツのスマートホーム関連企業)といった欧州企業と共に、近未来のリビングルームをテーマに、新たなショウルームを披露する」
一方のユニポスは、社員が毎月、一定額の報酬を同僚に与える権利を持ち、相互にコメントとともに「お礼」を送るシステムを構築した企業だ。そのユニークな発想と、単なる報酬制度に留まらない奥深さは、オープンな社員同士のコミュニケーションを重視する海外企業にこそカルチャー的に合っているのかもしれない。
ユニポスは一種の社員間SNSのようなものだが、何らかの手伝いをしてもらった時など、ちょっとした業務上の作業に対し、恩恵を受けた社員がコーヒー代程度の価値を持つポイントを贈ることができる。予算は毎月決まった金額が各社員に割り当てられるが、予定調和的な“贈りあい”ではなく、異なる部署間のコミュニケーションや助け合いを促す効果が得られるとしている。日本でもトヨタやDeNAといった上場企業が採用し、効果を上げているという。
ユニポスの効果は単なる社内コミュニティの活性化だけではない。実は人材配置の最適化や、部署間のつながりの深さ、あるいは浅さが視覚化できるところに価値がある。
社員が報酬を贈る数を、部署間のつながりの深さと見なすことができるからだ。組織全体を見渡した上で、必要なコミュニケーションが不足していれば人材交流を深める措置を取ることで効率を上げられる可能性もある。
加えて派遣会社や協力会社からの駐在社員をユニポスのコミュニティに加えることで、会社の組織図には出てこない”まったくの第三者”が部署間のハブになっているケースもよく見られるという。
コメントに自然言語処理を施すことで、人事情報にないスキルを持つ社員を発見する手助けにもなる。例えば、特定ツールを用いて他者を助けている社員を発見して人事情報に追加。人材配置の最適化を図れることも分かってきた。
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