グローバルの見本市で、”日本”をテーマとしたエリアが設けられることは過去にもあった。しかしIFA NEXTは、世界中から次世代を担うテクノロジーを持ったベンチャー企業が集まる。そうした意味では、1月にラスベガスで開催されているCESのエウレカパーク(新発見をテーマとしたテックベンチャーエリア)に設けられた「J-Startup」パビリオンに近い。パートナー国として、より高い自由度で国としての発信が行えるとはいえ、どのような違いを出せるのか。
西山局長は「J-StartupはJETROがとりまとめ、日本のスタートアップを国際舞台で紹介することを目的にしている」と説明する。今回は、日本国として経産省の予算で日本のテックベンチャーが出展するスペースが設けられ、さらにカンファレンスなどで、日本として新しい提案(Society 5.0など)や次の社会を担うコンセプトを発信する機会になるという。
「パビリオンにテックベンチャーを集めるだけでは、どうしても”プロダクトを並べる”だけにしかなりません。しかし、我々が提案したいのは社会の仕組みが変化し、生活を取り巻く環境が変わっていくということ。そうした社会の変化に応じて、さまざまな製品が生まれ、あるいは変革していく。例えば、経産省が国交省と共同で取り組んでいる”空飛ぶ自動車”の実現に向けた取り組みなども披露していきます」
経産省がIFA NEXTに送り込みたいと考えている展示はハードウェアだけではない。今やテクノロジーは、観光やスポーツ、あるいは食などの文化とも密接に結び付いている。「ジャンルを限定することなく日本を発信していきたい。まずはJ-Startupに参加した企業には声をかけていくが、IFA NEXTでテクノロジーを起点にした新たな提案をしたい……そんなプロジェクトがあるなら経産省情報産業課に連絡をしてほしい」。西山局長はこう話した。
IFAのイベントを統括するイエンズ・ハイテッカー氏(メッセ・ベルリン IFA グローバル統轄本部長)は、最初のパートナー国となる日本について「長年、日本の電機業界とは強い結びつきを持ってきた。多くの研究開発投資があり、産業界には大手からスタートアップまで幅広いプレーヤーがいる。若手も多い。彼らは国際ステージに出てくるべきだろう。潜在力は大きいが(地理的、言語的な制約もあり)日本という市場に閉じがちで、本来のポテンシャルに気付いていない場合もある。パートナー国としてのIFA NEXTに参加することで、より多くの国のジャーナリストや企業、政府機関などと交流してほしい」とエールを送った。
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