ドイツのベルリンで開催している欧州最大のエレクトロニクスショー「IFA 2018」(8月31日〜9月5日)にLINEが初めて出展し、開発中のIoTプラットフォーム「LINE Things」を披露した。メッセンジャーアプリの「LINE」を使い、各種IoT(モノのインターネット)デバイスを管理、操作するという。企画開発を担当しているLINEの高橋ホセルイス氏に開発の経緯と特徴を聞いた。
「昨今、IoTへの関心が高まりつつありますが、一方でユーザーとIoTデバイスの距離は少しずつ広がっています。操作が難しい、あるいは設置や設定の方法が分からない不自由さがIoTデバイスの普及を妨げている原因。一般の消費者がデバイスの操作性すら意識することなく、LINEでIoTデバイスを自在に操作できるようなスマートな環境を作りたい。それがLINE Thingsのテーマです」(高橋氏)
LINEのブースでは複数のデモンストレーションを交えてLINE Thingsの特徴が紹介されていた。例えばLINE上で好みのコーヒーのレシピを選び、Bluetooth LE接続のエスプレッソマシンに送ると好みのコーヒーができあがる。センサー内蔵の植木鉢とLINEをつなげば、土の乾燥状態や気温から導き出した植物の健康状態を確認できる。電子レンジなど調理器具の複雑な機能をLINEを使って直感的に操作する。
普段、使っているLINEをユーザーインタフェースになり、スマホをハブとすることにより、スマート家電のみならずBluetooth接続のウェアラブルデバイスなども一括管理できる。ディスプレイに追加情報を表示できる点も分かりやすい。ただし、今回はプラットフォームが未完成なうえ、ハードウェアはまだ対応している製品がないことから、エスプレッソマシンの代わりにタブレットを設置するなど、あくまでコンセプト展示という形だった。
LINE Thingsの用途はスマートホームだけではない。高橋氏は、「現在は各メーカーが異なるスマートサービスの規格を統一するためにアライアンスを組むなど、様々な取り組みを行なっていますが、LINE Thingsは各社のその負担を軽減できるサービスになれると自負しています。例えばメッセンジャーアプリのLINEに組み込まれているLINE Payの決済サービスと統合することもあり得ると思います。ホテルの宿泊料金をLINE Payで支払い、ルームドアのスマートキー、照明器具のリモコンをLINE Thingsで操作するといったワンストップのサービス構築が可能になります」とLINE Thingsのメリットを強調した。
LINE ThingsをIFAで披露したのは、日本国内に限らず世界中の企業に参加を呼びかけ、グローバルなIoTプラットフォームとして展開するためだ。高橋氏は「IFAには多くのコンシューマーデバイスのメーカーやサービス事業者が集まるので、LINE Thingsの紹介にうってつけの機会です」としている。なお、手応えについては「初日から上々です」(高橋氏)
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