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エンジニア以外も「AIの仕組み」を学ぶべき理由 機械学習とディープラーニングの違いは?よくわかる人工知能の基礎知識(2/4 ページ)

» 2019年05月09日 07時00分 公開
[小林啓倫ITmedia]

教師あり学習

 教師あり学習の場合、「入力」と「正解データ」をセットにした教師データが与えられる。例えば大量の金融取引のデータを用意し、記録されている個々のトランザクションを「正しい取引」と「不正な取引」に分類して(機械が参考にできる教師データ)機械学習用の「学習器」に学習させる。未知のトランザクションをこの学習器に入力すると、それが不正かどうかをコンピュータが判断してくれる。

教師なし学習

 教師なし学習では、機械に大量のデータだけを与え、その中にある隠れた規則性を自ら発見させる。例えばECサイト上の大量の取引データから、同じような購買パターンを持つクラスタ(集団)を把握したいとしよう。

 人間が手作業でユーザーを「40代男性」「東京に住むサラリーマン」などに分類し、彼らがiPhoneを買う傾向があるかどうかを判断する、といったことも可能だが、それでは人間が考えた枠組みでしか分析ができない。

 教師なし学習なら、機械がデータに基づいたクラスタ分けをしてくれるのだ。実際にこうしたクラスタ分析とそれを活用した商品レコメンデーションは多くのECサイトに導入されている。あるクラスタの中の誰かが買った商品を、同じクラスタに分類されている別のユーザーにレコメンドする、といった具合だ。

強化学習

 強化学習も、正解データを用意しない学習法だ。その代わりに、まずは機械に達成させたい「ゴール」(ゲームに勝利するなど)を設定し、アルゴリズムが何らかの判断を行うと、その結果に応じて「報酬(もしくは罰)」を与える。それを繰り返すことで、得られた報酬がフィードバックとなり、機械が自ら「正しい」行いを把握できるようになる。

 つまり、行動を繰り返していく中で徐々に学習していく。ちょうど飼っている犬や猫をしつける際、お手ができたらおやつをあげる、テーブルの上の料理を盗み食いしたら叱るといったフィードバックを繰り返すことで、望ましい行動を取ってくれるようになるイメージだ。

 この3つは排他的なものではなく、教師あり学習と教師なし学習を組み合わせた「半教師あり学習」という手法も存在する。とはいえ個々の手法の詳細を説明するのが本稿の目的ではないため、このあたりでディープラーニングの説明に移ろう。

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