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未経験からデータサイエンティストになれる? 「死の谷」を越えた独学プログラマーが伝えたいことこれからのAIの話をしよう(独学エンジニア編)(2/4 ページ)

» 2019年05月13日 07時00分 公開
[松本健太郎ITmedia]

 「学問のオタク同士が会えたら面白いと考えて、そういう人のための出会い系アプリを作ろうと思いました」(Daiさん)

 環境にも恵まれていました。音楽好きなDaiさんは大学時代にバンド活動をしていたのですが、偶然にもメンバーの1人にプログラミングスクールの経営者がいたのです。ゼロから始めるオリジナルのアプリ開発は分からないことの連続でしたが、困ったときに相談できる相手が身近にいたことは良かったと振り返ります。

 大学4年生の夏から約半年かけてアプリを完成させ、全世界に公開しました。自分のローカル環境でアプリを構築する人は多くいるでしょうが、ドメインを取得してクラウド上にプログラムを置いて公開するところまでやり切ったのです。

 初心者で自作アプリを完成させ、リリースまでたどりつくのはかなりハードな印象です。Daiさんは「僕はやる気がない人間なので、これがあったら超面白いという、絶対作りたいものをまず決めるんです」と説明します。そうすると「絶対アプリを公開する」という強い意志が生まれるので、分からないことがあったり、コードのエラーが起きたりしてもくじけずに乗り切れたそうです。

 そこから「エンジニアになりたい」という思いが、さらに強くなっていきます。入社した会社はエンジニア採用ではなかったため「何らかの実績が必要だ」と考え、その後もいろいろなアプリを生み出していくのです。冒頭に紹介した「文字起こし君」もそうですし、Twitterで話題になったAIアプリ「スケベ博士」など10個ほどのアプリを自作していきました。

自作アプリを公開することを恐れるな

 一方で、自分で作ったアプリを公開することを躊躇(ちゅうちょ)する人もいるのではないでしょうか。「へたって言われたらどうしよう」「傷つくのが怖い」と思う気持ちはとても良く分かります。しかし、Daiさんは「絶対に公開するべき」と主張します。

 「僕はデータサイエンティストのTJOさんが使っている“炎上ラーニング”という言葉が好きなんです。まずは市場に出してみないと製品は評価されません。燃えることはソーシャルの観点で見れば良いことで、議論を呼ぶコンテンツほどシェアされますし、そこから学べることがあるはずです」

 Daiさん自身も、自作アプリが多くの人へ拡散されていく中で、賛否両論さまざまな反応を見てきました。「スケベ博士」については、リクルーティングにつながった例もあったそうです。心ない中傷などを送られるとつらい面はありますが、それ以上に得るものがあると思えればアプリ公開への心理的ハードルは下がるのかもしれません。

学んだ時間の分だけ成長するわけではない

 ちなみに、フリーランスで活動するDaiさんは毎日どれくらい勉強しているのでしょうか。

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