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未経験からデータサイエンティストになれる? 「死の谷」を越えた独学プログラマーが伝えたいことこれからのAIの話をしよう(独学エンジニア編)(3/4 ページ)

» 2019年05月13日 07時00分 公開
[松本健太郎ITmedia]

 その質問には「うーん、自分としては勉強している意識があまり無いんです」と首を傾げます。

 「単純に知ることが好きで、常に本を読んでいます。読んだ内容を実践してみて、そこで得た気付きをnoteで発信しています」(Daiさん)

 そうした行動自体が努力そのものではないかとも思いますが、筆者はDaiさん本人がそうした自覚が無い点に興味を抱きました。そこにはDaiさんなりの考え方があるようです。

 「社会人になると、受験勉強みたいにかけた時間に対して能力がほぼ線形に伸びるだけじゃないものってありますよね。時間をかけても能力が伸びない“死の谷”がやって来る。プログラミングもそうで、やってもやってもうまくならない時が来て、多くのひとがそこで挫折しちゃうんです」

 「でもいろいろとググって、答えが分かるとすごく楽しくなりますよ。だからまずは挫折せず、とにかく続けてみることです。するといつの間にか、死の谷を越えてます。1度それを越えられると、同じような場面に遭遇しても“今度も少し時間をかければ大丈夫”と安心できます。本来は投資した分だけすぐにリターンが返ってこない勉強の方が多いんです」

 くじけそうになっても、諦めずに続けてみることが大切なのかもしれません。

未経験からエンジニアになりたい人へ

 いま「未経験だけどエンジニアになりたい」という人がいたら、Daiさんならどんなアドバイスをするのでしょうか。Daiさんは「まずはどんなスキルを身に付けたいかを考えることが大切です」と話します。

 「エンジニアの職業を大まかに分解すると、サーバサイドエンジニア、フロントエンドエンジニア、インフラエンジニア、その他などに分かれます。具体的にどの辺りを目指すかはもう少し踏み込んで考えたいですね」

AI

 ただ漠然とエンジニアになりたいと考えているなら、最初の取っ掛かりとしてHTML、CSS、JavaScript、PHPを勉強して、簡単なWebページを公開するところまでやってみるのがいいそうです。さらに挑戦したい場合は、Railsなど何かフレームワークを使って1個Webアプリを作ると良いとのこと。

 Daiさんは「HTTP、認証、脆弱性、データベースなどについて一通り学べて、大体こんな感じかなと肌感覚をつかめるからです」と続けます。「自分の頭で考えて、自分の手で作りましょう。オリジナルなものを実際に作っていることが重要なのです」

 ここでも、まずは実際に手を動かして何かを作ってみることの大切さが強調されています。プログラミングの本を何冊も読むより、コードを書きながら「何となく感覚をつかむ」ことが重要なのかもしれません。

 「未経験者の採用はポテンシャル評価です。それを評価するには、独学力とやる気を測るための自分で作った成果物が必要です。仮に自分が採用担当だとしたら、完全な未経験(者の採用)は難しいでしょう。だから職場経験はなくても、“モノ”は見せてほしいです。もちろん、他人のコピペではダメです」

 とはいえ、完全オリジナルの成果物は非常にハードルが高い。Daiさんもそれには同意した上で「独自性を出すには、他人が作ったものに“本気で毛を生やす”ことが大事です」と話します。

 Daiさんは「バンドでいうコピーバンドみたいな感じで、まずはコピーを作ってみるといいです。そのうち、自分なら何を作りたいかをイメージできるようになって、こういうものを作るなら、あの機能とあの機能を組み合わせたらできるかな、などのアイデアが思い浮かぶようになります」と説明します。

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