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» 2019年05月14日 07時00分 公開

「最初はケンカばかりでした」 大手家電メーカー出身の技術者がアイリスオーヤマに集まる理由 (2/3)

[村上万純,ITmedia]

「これまでとは全く違う」 大手家電メーカー出身者は何に驚いたか

 現在、大阪の家電開発拠点では技術者、知的財産・品質管理担当など含め100人ほどが働いている。石垣氏は「家電事業は特殊で、技術だけでなく特許や知財などの参入障壁があります。さまざまな知見を持つスペシャリストが集まることで、ようやく(商品を)形にできるようになってきたんです」と話す。

 13年の大阪拠点設立当初は関西に拠点を置く大手家電メーカーの早期退職者が多く集まっていたが、現在は関東からの中途採用も増えて東京・浜松町にあるアイリスグループ東京本部でも開発チームを組成している。

 中途採用のベテラン技術者たちは職人気質でそれぞれにこだわりもある。大阪拠点の設立から2〜3年は思想の違いからうまく意見がまとまらず、中には退職していった人もいたという。

 石垣氏は「そんな状況を見るに見かねた会長(大山健太郎氏)がビルの上にラウンジを作って、そこでお酒を飲みなさいと言っていましたね」と笑う。

 残ったのは、ものづくりが大好きな現場主義の職人たちだ。大手家電メーカー出身者がアイリスオーヤマに入社して特に驚いたのは、(1)企画立案から商品開発まで全体の工程に関われること、(2)自由にアイデアを出せる風通しの良さ、(3)商品完成までのスピード感、だったという。

 大手家電メーカーの場合、縦割りの事業部制が弊害になることも少なくない。例えばIH炊飯器のようなものは、IH事業部と炊飯器の事業部が分かれている場合はなかなか実現しにくいものだ。

家電 「銘柄量り炊きIHジャー炊飯器」。本体は分離式になっていて、上部は“おひつ”として、下部はIH調理器として使用できる“一台二役”も特徴

 中途組の中には「商品開発の一部分のみを担当していたため、最終的な商品の完成形は発売されるまで分からない状態だった」と話す人もいたという。ベテラン技術者の中には、アイリスオーヤマに入社して初めて企画立案を体験した人もいる。

 また企画立案をできる立場にいた人でも、部門間の根回しに追われるなど苦労も多かったようだ。稟議のために30個ほどの“印鑑リレー”をさせられていた人もいた。

 アイリスオーヤマでは、社長の一言で新企画が即決されることもある。

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 そのスピード感を実現する上で欠かせないのは、宮城県の本社で毎週月曜日に行う全体会議だ。

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