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» 2019年05月17日 07時00分 公開

「人類には早すぎた」 人工生命観察プロジェクト「ARTILIFE」が私たちに問いかけるもの (1/2)

ドワンゴの人工生命観察プロジェクト「ARTILIFE」をプレイして記者が感じたことをまとめてみた。

[村上万純,ITmedia]

 人類には早すぎた――これは動画サービス「niconico」のタグなどに見られるネット特有の表現だが、ドワンゴが提供する人工生命観察・育成プロジェクト「ARTILIFE」もそれを体現した先進的なサービスの1つといえる。

AI ドワンゴが提供する人工生命観察・育成プロジェクト「ARTILIFE
AI ゲーム画面(公式より)

 ARTILIFEは、PCやスマートフォン上の仮想空間で、AI(人工知能)を備えた“人工生命”を観察・育成し、その進化の過程をリアルタイムで楽しめるサービスだ。人工生命はコンピュータ上でシミュレートされた生命体で、自律的に学習しながら環境や状況に適応し、増殖と進化を繰り返す。

 CGで生命の動きを再現する同技術は、映画監督の宮崎駿氏を「生命に対する侮辱を感じる」「極めて不愉快」と激怒させたことでも話題になった。

 しかし、記者が実際にアプリをインストールしてしばらく遊んでみたところ、「生命そのものについて深く考えさせられるアプリだ」と感じた。うねうねと奇妙に動く多数の人工生命を見ながら、「人間とは何か」を考えさせられたのだ。

 同サービスは、ドワンゴの機械学習技術の研究開発部門である「Dwango Media Village」が開発した「強化学習を用いた人工生命のモーション自動生成技術」を活用。強化学習アルゴリズム開発を担当した大垣慶介さんは動画サービス「niconico」のインタビューの中で「人工生命を通じて、機械学習の学習部分の楽しさを伝えたい」と語っていた。

AI 「ニコニコ超会議2019」のトークセッションに登壇した大垣慶介さん

 これは「人工知能が自律的に学習し、成長していく様を楽しんでほしい」という意味だろう。実際に大垣さんは4月27日に開催された「ニコニコ超会議2019」(千葉・幕張メッセ)内のトークセッションで、「AI開発者などはAIが学習するプロセスを楽しめると思うが、楽しみ方が分からない人はすぐに飽きてしまう」と話していた。

 大垣さんは「機械学習の学習自体はエンターテインメントとして広く受け入れられるのか?」ということに関心を持っているという。ARTILIFEなら、「人工生命が成長していく様子を観察することをどれだけの人が楽しめるのか」という問いになるだろう。

 実際、さまざまな形状の立体を組み合わせた無機質な人工生命に感情移入し、それらが学習、成長していく様を観察し続けるのはかなり“高度な遊び”といえる。しかし、このプロジェクトには人間について考えさせられるいろいろなものが詰まっているようにも思うのだ。

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