さて、認証について話をしていこう。
魔法少女といえば「魔法の呪文」である。もちろんカードキャプターさくらにも魔法の呪文はいくつも登場する。まずはクロウカードを封印するアイテム「封印の杖」を元の姿に戻す呪文だ。普段はクロウカードをしまうアルバムを閉じるための鍵の姿をしており、魔法の呪文を唱えなければ元の杖の姿に戻ることはない。
その呪文は「闇の力を秘めし鍵よ、真の姿を我の前に示せ 契約のもと、さくらが命じる 封印解除(レリーズ)!」である。ちなみに第2部「さくらカード編」では「星の力を秘めし鍵よ」、第3部「クリアカード編」では「夢の力を秘めし鍵よ」と変化する。
本講義を受けてきた諸君は、これを呪文の記憶による知識認証と声紋による生体認証の二要素認証と考えるだろうか?
しかし私の見解は少し異なっている。なにせ魔法の力であるのだから、魔法の力による未知の認証(生体認証の一種?)と思った方が、夢があるのではないだろうか?
カードを封印する時の呪文についても見ていこう。クロウカード編では「汝のあるべき姿に戻れ、クロウカード!」、さくらカード編では「クロウの作りしカードよ、古き姿を捨て生まれ変われ 新たな主、さくらの名のもとに」、そしてクリアカード編では「主無きものよ、夢の杖のもと、我の力になれ 固着(セキュア)!」である。
実際のところ、この呪文のフレーズに意味があるのかと言われれば「それっぽいから」というのと、さくらが自分自身の体内から魔力を引き出すための掛け声で、儀式や作法の一部である、と筆者は考える。
スポーツ用語(?)では「ルーティン」と呼ばれているもので、フレーズ自体が道具である封印の杖や、魔法の対象であるカードに作用するのではなく、魔力を送り込むさくらの方に作用するフレーズなのではないだろうか。そして、儀式や作法には、自分が本気になるための「それっぽさ」が必要なのだ。
では、カードキャプターさくらのフォロワーとなる作品はどうなっているのか? 私としては「魔法少女リリカルなのは」について触れさせていただきたい。
詳細、あらすじなどについては今回省略するが、本作品で特筆すべきは魔法というものを「システム」として考え、科学的にも説明がつくように設定が行われている点である。
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