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» 2019年05月23日 16時18分 公開

新連載「IT基礎英語」:security patch:ソフトウェアのばんそうこう

IT関連の英語ニュースに出てくる単語、気になった表現を取り上げて解説します。第1回は、security patch。

[鈴木聖子,ITmedia]

 ITmediaで海外情報を長年翻訳している鈴木聖子さんが、IT関連記事に登場する英文の中からよく見かける単語や気になった表現について紹介するコーナーです。


 「ソフトウェアの脆弱性が見つかったので、すぐにパッチを適用しましょう」。セキュリティ関連ニュースを担当するようになってから、そんな記事ばかり書いている。本連載では、日々、英語のニュースに接する中で、よく見かける単語や気になった表現について、翻訳者の悩みや愚痴や失敗談も交えながら紹介します。

 スマートフォンやPCを使っていると、定期的にソフトウェアアップデート(更新)が配信される。特に大切なのは、脆弱性、つまり無防備な部分を補修するためのセキュリティアップデートというプログラム。ソフトウェアは膨大な量のコードで出来ているので、気付かないまま見落とされていたほころびが必ずどこかに存在する。放置すればその部分から情報がダダ漏れしたり、悪いヤツが忍び込んだりするかもしれない。

 そうした無防備な部分はsecurity hole(セキュリティの抜け穴)とも呼ばれる。この穴をふさぐもの、という意味で、英語ではセキュリティアップデートのことを「security patch」、または単純に「patch」と呼ぶことが多い。

 patchとはもともと、傷んだ場所を補修する「継ぎ当て」のこと。ソフトウェアの抜け穴をpatchで補修するやり方は、傷口にばんそうこうを貼ったり、破れたジーンズに当て布をするイメージを思い浮かべると分かりやすい。

 ちなみにpatchの呼び方はメーカーによってさまざまで、例えばMicrosoftやAppleはSecurity Update(マイクロソフトの日本語訳は「セキュリティ更新プログラム」)、GoogleがAndroid向けに毎月公開しているセキュリティ情報ではSecurity Patch(セキュリティパッチ)と呼んでいる。

photo Android Security Bulletinsより

 いずれにしても、patchに代表されるように、英語のコンピュータ用語のほとんどは、もともと普段の生活で大人にも子供にも馴染みのある言葉が流用されている。なのでアナログな人にとっても取っつきやすい。それで思い出したのだけれど、昔のWindowsには時々、魔法使いが登場した。

 あのウィザード(wizard)と呼ばれる魔法使いは、ソフトウェアをインストールする時などに魔法のように現れて、作業を手伝ってくれた。そのwizardが「男の魔法使い」の意味だったことを、私はハリー・ポッターの小説で初めて知った。ちなみにハーマイオニーのような女の魔法使いはwitchという。

photo Windowsのウィザード

 Windowsのウィザードは結構ウザいヤツだと思ったこともあるんだけれど、「魔法使いが頑張ってるのでちょっと待ってね」と言われれば少しは和んでいたかもしれない。Microsoftにも遊び心のある人はいたのだ。でも日本語でカタカナのウィザードと呼んでしまうと、もう情緒のカケラもない。

 そんな用語が日常用語から切り離されて定着した結果、ITについて語ろうとするとカタカナ言葉の羅列になってしまう現象はイケてないと、個人的には思う。と言いつつ毎度のように、クリティカルパッチやセキュリティアップデートの記事を書いている。もっと気の利いた表現はないものだろうか。

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