ここまでOculus Questを、高性能PCに接続して使うハイエンドVRと同列に説明してきましたが、ゲームの処理性能に関しては大きく異なります。
Oculus Questには、2017年後半から2018年に発売されたハイエンドスマートフォンの多くに搭載されていたプロセッサ「Snapdragon835」が採用されています。つまりグラフィックス性能はスマホ並みではあるのですが、Oculus Quest向けのゲームストアをのぞいてみると、VRリズムゲーム「Beat Saber」、スローモーション風アクション「SUPER HOT」、SFアクション「Robo Recall」、ソーシャルアプリ「VRChat」など、人気のPC向けハイエンドVRタイトルが続々と移植されています。
いずれもグラフィック品質を落とすことで、スマホ性能並みのOculus Questでも同等のゲームが動くようにチューニングされているのですが、実際にいくつか購入して試してみたところ、確かにグラフィックスが簡略化されているタイトルもありましたが、ゲームをプレイする体験としてはほとんど差が気になりませんでした。
むしろ煩わしいケーブルから開放されたことで、PCからケーブルが延びるハイエンドVRよりもVRとしての体験は上ではないかと思うほどです。
つまりVRゲーム機として非常に優秀ということです。逆に言えばゲームタイトル次第でOculus Questの価値が決まるということでもあります。今後のラインアップ拡大にも期待したいところです。
少し褒めすぎてしまったので、公平に欠点も挙げておきます。まずは上で挙げた処理性能から。ゲームについては安定して動作する印象ですが、オンラインで複数のアバターが同じワールドに集まるようなコミュニケーションアプリでは、人数が増えたところでアプリが強制終了してしまう場面がありました。楽しくコミュニケーションしているところで切断されてしまうと、切ない気持ちになります。
続いてバッテリーのもち。満充電からゲームをプレイしていると2時間強で空っぽになります。さすがにこれは物足りません。ポケットにモバイルバッテリーを入れてUSB-Cケーブルをつないで充電しながら使う方法が有効です。
さらにOculus Questの内側には近接センサーが備わっており、顔を近づけると自動で電源がオンになります。非常に便利なのですが、かばんなどで持ち運ぶときに、一緒に入れていたハンドコントローラーなどが触れて電源が入ってしまい、気付いたらバッテリーが空っぽということがありました。
持ち運びには純正ケースを使うべきなのでしょうが、5000円(税込)は少々高い気も……。
次に本体の重さ。Oculus Questは実測で579グラムでした。頭に固定するバンドの改善で装着感は良好ですが、Oculus Go(約460グラム)に比べても重量感は否めません。映像ビュワー用途がメインならば、Goを選ぶのも手ではあります。
しばらく使うことで感じる不満も出てくるでしょう。また別の記事で追ってレポートします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR