Amazon Web Services(AWS)の日本における年次カンファレンス「AWS Summit Tokyo 2019」が、幕張メッセで開催された。毎年規模を拡大し今回は3万3000名を超える参加登録があり、国内で最も規模の大きいエンタープライズITのプライベートイベントとなっている。今回で8度目の開催となるが、当初からコンセプトは一貫しており、「最先端のクラウドテクノロジーを学ぶ場です」と、基調講演に登場したアマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 代表取締役社長の長崎忠雄氏は言う。
AWSのグローバルのビジネスは、順調に拡大している。2019年の第1四半期時点で、年間の収益見込みは308億ドル、年間成長率も41%となっている。日本への投資も続いており、日本の顧客の多くが東京リージョンのクラウドデータセンター利用、昨年からは大阪リージョンも使えるようになった。世界中でデータセンターへの投資は続いており、現在も4つのデータセンターを建設中で、エッジロケーションに至っては世界中に150以上もある。
「AWSには世界中に数100万を越える顧客があります。さまざまな顧客のさまざまなワークロードが、AWSの上で動いています」と長崎氏。ガートナーの調査によれば、パブリッククラウドのシェアでAWSは51.8%を獲得し、圧倒的なNo1ポジションにある。この数字は2、3、4位の企業のシェアを合わせ2倍した数字よりも大きいと長崎氏は自信を見せる。日本においても数10万の顧客がAWSを利用しており、スタートアップ企業から銀行や大手製造業なども利用している。今後は政府情報システムの「クラウド・バイ・デフォルト原則」もあり、公共機関での利用がさらに加速するだろうと予測する。
日本中のさまざまな人たちにAWSを使ってもらうために、新たな学びの場もAWSでは提供している。東京目黒に開設した「AWS Loft Tokyo」がそれだ。ここはAWSのアカウントがあれば、誰でも利用可能だ。さらに開発者向けにDEV Dayも開催しており、こちらには1週間で5000名もの参加があった。これらからは日本の開発者の、AWSへの関心の高さがうかがえる。
さらに将来的な先端IT技術人材の育成にも力を入れており、学生向けの教育プログラム「AWS Educate」も無償提供している。こちらには早稲田大学や慶応大学など、50を超える教育機関が参加している。その上で「AWSの技術を習得した学生と企業のマッチングも支援する予定です」と長崎氏は言う。
基調講演には、ゲストスピーカーとして三菱電機 リビング・デジタルメディア事業本部 リビング・デジタルメディア技術部長の朝日宣雄氏、ニフティ取締役(兼)執行役員(兼)CIO(兼)ITシステム統括部長の前島一就氏、シナモン CEO 平野未来氏が登壇し、ユーザーの立場からAWSをなぜ選択したかについて語った。
例えば三菱電機では家電製品のIoT化を行ってきたが、各製品から得られるデータを管理する仕組みが各国でばらばらの状況だった。これでは多様な顧客ニーズに柔軟かつ迅速に対応できないため、グローバルで統一化された新たなプラットフォームが必要だと考える。採用したのがAWSであり、ポイントの1つが新しいアーキテクチャを容易に取り入れられること。サーバレスアーキテクチャを実現するには、AWSが最適だと判断したのだ。三菱電機では新たなグローバルIoT基盤を、AWSのサーバレス機能とマネージドサービスを活用して、4カ月という短期間で構築できた。
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