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「僕と契約してデータサイエンティストになってよ!」 分析少女ありさ☆アリスの悲劇マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!(3/4 ページ)

» 2019年06月27日 07時00分 公開

第四章:絶望

 ハチュべえさんの配慮により、ありささんは部署異動しました。異動後しばらくたち、再度ハチュべえさんとの面談です。

ありさ「やっぱり、こんな仕事はおかしいよ」

ハチュ「Excelによるテスト工程の管理は、日本が生み出した至高の文化だよ」

ありさ「調べたらもっと良いツールがあるみたいだけど」

ハチュ「新ツールの導入には許可が必要だし、現場に求められるのは誰でも使えることだからね」

ありさ「それに開発メンバーが増えても情報共有は進まないし、効率が悪すぎるよ」

ハチュ「チーム開発におけるコミュニケーション能力を鍛える良い機会だ。これは君の成長にとって必要なことだと思うね」

ありさ「こんなの絶対おかしいよ。私はデータサイエンティストじゃないの?」

ハチュ「そうさ、僕は君の願いをかなえた。理想と現実が違ったとしても、自分がやるべきことを全うするのが社会人ってもんだよ」

ありさ「毎日残業ばかりで、もうつらい・・・・・・仕事を辞めたい」

ハチュ「君は第二新卒として転職したのに、半年で辞めるのかい? それだと他社でも通用しないし、他の現場はもっとひどいよ。それに転職から1年以内に辞めたら、こちらが返金したスクールの授業料を全て返してもらうよ」

ありさ「そんな・・・・・・。すぐには払えないよ」

ハチュ「だからこそ、いまの仕事を続けるべきだ。君は伝統ある日本のものづくりと、最先端の自動運転に携わっている。こんな誇れる仕事を辞めるなんて、わけがわからないよ」

 一般的にこのような状況は、ワルプルギス……ではなくデスマーチと呼ばれます。心身ともに疲弊する中で、ありささんのソウルなジェムの色は黒く濁ってきました。このまま心を病んでしまうかもしれません。

 仕事を辞めるのは簡単ですが、新たなキャリアを見つけて成功するのは大変です。安易にデータサイエンティストになると決めたことで、将来どころか1年後のキャリアすら見失ってしまいました。

契約 IT業界の人材サイクル。こうならないためにどうすべきか?

 では、ありささんのような悲劇を繰り返さないためには、どうすればいいでしょう?

終章:真実

 大前提として世の中にうまい話はないので、未経験から3カ月でデータサイエンティストにはなれません。ありささんがやっていたのは単純作業や補佐業務であり、それは「データサイエンティスト」ではなく「作業者」の仕事です。

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