「初期投資もコーディングも不要だったのでこれしかないと思った」とSalesforceに初めて出会ったときの衝撃を語るのは、トムソンネット代表取締役副社長 鈴木邦朗氏。同社は、保険ビジネスの研修やコンサルティングを主たる業務としており、その中には、保険代理店向け業務システムの開発も含まれている。
トムソンネットは、保険会社及びその隣接業界を退職した平均年齢60歳(当時)の10名が結集し2004年に創業。いわゆるシニア起業である。メンバーの中でシステムを担当する鈴木氏の前職は、ドキュメントスキャナの人気機種「ScanSnap」で知られるPFUの部長だった。「PFUが初めて募集した早期退職制度に応募して定年前の57歳でトムソンネットの立ち上げに参画した」という。
起業当時の保険代理店のIT環境は、まだまだ発展途上だった。大手保険会社が提供する契約管理のためのシステムは導入されていたものの、顧客(契約者)管理のシステム化は遅れていた。契約者情報の管理は、営業担当が独自に作成したExcelのシートや紙の手帳で行うなど、属人的な様相が強く、CRM(Customer Relationship Management)という概念すら持ち合わせていないところが多かったという。
ここに目をつけた鈴木氏だが、従来のシステム構築の考え方では、サーバの運用管理やプログラムの作り込みなどで初期費用がかさむばかりか、相応のリードタイムも要し、システムの売り込みは簡単ではない。ちょうど同じタイミングで「娘の勤務先が、SalesforceというCRMを導入したという話を聞いたので、興味を持って調べた」そうだ。当時のSalesforceは、日本ではまだまだ無名に近い存在で鈴木氏も初めて聞いた名前だったという。
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