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画像認識で皿をカウント、スマホで事前注文・決済――客も驚く「スシロー」新型店舗の全容(1/2 ページ)

» 2019年07月02日 15時48分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 回転すしチェーン「スシロー」を運営するあきんどスシローは6月26日に、多様なテクノロジーを導入した新型店舗を兵庫県伊丹市にオープンした。従来型の店舗をリニューアルし、バーコードを活用した予約受付システムや、画像認識で皿を数える会計システムなどを導入。公式アプリなどで注文・決済を事前に完了させ、店舗のロッカーで商品を受け取れるサービスも採用しており、「来店した顧客からは驚く声が出ている」という。

 従業員の負担を解消しつつ、顧客の利便性を高める狙い。当初は1店舗(伊丹荒牧店)のみだが、効果を踏まえて拡大を検討する。

photo 最新技術を結集した、スシローの新型店舗

 本記事では、受付・会計・テークアウトといった一連のサービスが、どのような仕組みなのかを順に紹介していく。

アプリとバーコードで自動受付

 店舗の入口には、自動受付に対応したモニターを設置している。公式アプリなどで事前予約をした顧客に「お客さま番号」を発行し、来店時にモニターに入力してもらう仕組み。受付が完了すると、画面上に待ち時間を表示する他、バーコードを記載したチケットを専用の機器から出力する。待ち時間がゼロになるとモニター上で通知し、顧客がバーコードを読み取り機にかざすと、座席番号を表示する。

 顧客は店員と会話する必要がなく、受付を終えてモニターを見るだけで座席の場所を把握し、すしを食べ始められる点が特徴だ。

 スシローは自社のインフラにAmazon Web Services(AWS)を採用し、Webサイト基盤やデータ分析、顧客管理などに活用している。新店舗の受付でも、AWS上に構築した予約管理システムを使ってユーザーの予約情報や順番を管理している。

photo 新型店舗に設置した自動受付用のモニター

画像認識で金額を自動算出 従業員と話さないまま退店できる?

 すしが回っているレーンの上部には、多数のカメラを設置している。画像認識と色を識別する技術によって、映像を基に「何色の皿が何枚流れているか」を常に監視し、顧客が皿を取ると「何色の皿がどの席でなくなったか」という情報を自動で取得。皿の種類と増減数から、各テーブルの金額を算出する仕組みだ。

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photo レーンの上部に多数のカメラを設置している

 店内にはセルフレジを設けている。顧客が受付で入手したバーコードをレジに読み込ませると、皿の分析結果を基に金額を表示する。現金とクレジットカードの他、スマートフォン決済サービス「LINE Pay」で支払える。

 皿のカウントと会計でも、スシローは従業員による作業を機械に代替させている。従来型のレジも利用できるが、理論上、顧客は従業員と話さないまま退店することも可能なのだ。

photo 新型店舗のセルフレジ
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