カセットウォークマンWM-EX633の整備済みで完動確認がされているそうだ。WM-101から採用されたガム型充電池とUSB充電器も付属というありがたさ。ベルトも交換済みだ。
出品者の履歴をたどってみると、カセットウォークマンのコレクターで、これまで数百台を整備してきたという。評価も高い。ということで落札。
1996年発売。カセットタイプのウォークマンは2004年に終わってしまうが、その頃には新製品も出なくなっていて、デザイン的にも洗練されていないものが多かったので、この頃はまさに熟成期と言えるだろう。
電池はガム型充電池。WM-101で導入された平らなもので、これ1本(1枚)で駆動する。このガム型充電池はサードパーティー製の新品(ソニーはもう作っていない)。同じくサードパーティー製の充電器も付属した。これはありがたい。こういう古い型の電気製品は、本体は大丈夫でもACアダプター、電源、電池などの部品が欠品していて、そのまますぐには使えないことが多いのだ。
充電後、試してみると、ちゃんと動く。さすがウォークマン整備の達人だ。
本体にカセットテープを滑り込ませると、裏返して、そこにあるボタンで操作。オーディオジャックとリモコン端子が一体化した仕様だが、3.5ミリステレオのイヤフォンでも使える。初代ウォークマンのために買ったApple EarPodsを差し込み、聴いてみた。
前回MP3化したときにはノイズ混じりだった、新婚旅行のときの録音カセットも、クリアに聴こえる。カセットが帯磁して劣化したのではなく、プレーヤー側の問題だったのかということが分かる。
続いて、1981年秋、後に妻になる1年生がバンドに加入した後の学園祭ライブ。ジョン・オバニオンの名曲「Love Is Blind」もカバーしている。悪くない。年末のライブではこの曲を取り上げるよう、バンドメンバーに提案してみよう。
続いて「SUMMER HOLIDAYS - ZUSHI BEACH and KAWAGUCHI LAKE -」と題されたカセットテープ。タイプライターのOlivetti Lettera 35で印字したタイトルだ。音楽サークルのバンド仲間と一緒に行った記録なのだろう。記憶からはとうに失せている。
車内でモーターノイズと、カーステレオからのユーミンが流れている。「緑の街に舞い降りて」「DESTINY」「ジャコビニ彗星の夜」「影になって」……。1979年作品「悲しいほどお天気」をカセットテープに録音したものだ。
河口湖近く、鳴沢氷穴に入っている様子も録音されている。氷穴内の自動アナウンスで、場所が判明した。
懐かしい声がする。同級生とやっていたニューウェーブバンドのメンバーたちだ。「3、2、1」とカウントダウンして集合写真を撮っているのも聴こえてくる。5年前にタイで他界した友人の、古くて新しい声だ。僕と黄金バットについて話している。仲間に公開して情報を集めたら、ひょっとしてそのときの写真は見つかるだろうか。軽音サークルのFacebookグループに投稿してみた。「いいね」はついたが、追加情報はまだない。
これは良いタイムマシンだ。これで、数百本あるミックステープやバンドの練習録音テープを少しずつ聞いていくことにしよう。
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