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ヤフー、アスクル岩田社長に退陣要求 「LOHACO」の譲渡巡り関係悪化か

» 2019年07月17日 12時55分 公開
[ITmedia]

 ヤフーは7月17日、オフィス用品の通販事業を手掛ける連結子会社アスクルの岩田彰一郎社長に退陣を求める方針を明らかにした。業績改善や企業価値向上に向け、抜本的な改善が必要と判断したというが、一部報道では、共同で運営するECサイト「LOHACO」事業の譲渡を巡り、関係が悪化したとも報じられている。

 ヤフーは2012年にアスクルと資本・業務提携を締結。現在は議決権ベースで約45%の株式を保有している。ヤフーは、アスクルが8月2日に開催予定の定時株主総会で、岩田社長の再任議案に反対票を投じる方針だ。

photo ヤフーによる発表

事業計画の立案力と遂行力に疑問

 アスクルの19年5月期(18年5月21日〜19年5月20日)の連結業績は、純利益が前年同期比90.7%減となる4億3400万円に低下。配送運賃の値上げなど環境の変化を踏まえ、事業計画を見直した結果、LOHACO専用物流センターの減損損失として30億9700万円を計上したことが響いたという。

 LOHACO事業も14年5月期から赤字が続いており、19年5月期のセグメント損益は約92億円の赤字だった。そのためヤフーは、「岩田社長の事業計画の立案力と遂行力に疑問を抱くに至った」と説明。「岩田社長は1997年から現在まで社長を務めているため、経営の若返りを図り、新たな経営陣のもとで新たな経営戦略を推進するのが最適」としている。

photo アスクルは、LOHACO専用物流センターの減損損失として30億9700万円を計上

「LOHACO」の譲渡巡り関係悪化か

 一部メディアは、退陣要求の“もう1つの理由”を指摘している。

 7月17日付の日経電子版は「EC事業の強化を狙うヤフーがLOHACOの譲渡を求めたが、アスクルは、主力のオフィス用品通販や自社の物流センターとLOHACO事業の切り離しは難しいとして拒否し、両社の関係が悪化した」などと報道。

 同日付のマネー現代も「ヤフーの社長が宮坂学氏から川邊健太郎氏に交代した18年以降、ヤフーがLOHACOの分離を求めるようになった。それをアスクルが拒否したため、ヤフーは自社に忠実な社長へのすげ替えを画策している」などと報じた。

 アスクルは報道に対し、「当社が発表したものではない。開示すべき事実が発生した場合には、速やかに公表する」としている。

photo ヤフーとアスクルが共同運営する「LOHACO」

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