システムインテグレーターのテラスカイ(東京都中央区)は7月17日、量子コンピュータ分野の教育や導入支援を行う子会社「Quemix」(キューミックス)を設立したと発表した。複数企業で構成するコンソーシアムで量子コンピュータの研究や導入の相互支援を行う他、「組み合わせ最適化問題」を解きたい企業のコンサルティング・導入支援を実運用まで一気通貫でサポートするという。
Quemixの竹澤聡志CEOは、「テラスカイはシステムに必要な各サービスの運用や監視・支援などを今まで手掛けてきた。システムの『実行』の部分に、従来手法に加えて量子コンピューティングの手法を提案できるのがメリットだ」と量子コンピュータ分野に参入した理由を話す。
量子アルゴリズムでさまざまな計算問題を解けると期待される「量子ゲート方式」と、配達の最適ルート計算のような「組み合わせ最適化問題」に特化した「量子アニーリング方式」の2種類を扱う。
量子ゲート方式の取り組みでは、量子ゲート方式の教育や検証を複数企業が共同で行うコンソーシアム「量子コンピューティング・ラボ」を設立した。量子ゲートマシン「IBM Q」を作る米IBMとパートナーシップを結び、Quemixが得たIBM実機へのアクセス権をラボで共同利用する。ラボのメンバーとなる企業はこれから6社募集する。
量子アニーリング方式の取り組みでは、顧客から相談を受けて検証・導入支援を行う。量子アニーリング方式の提案の他、顧客が抱える問題の変数の多さによってはアニーリングを従来のコンピュータで高速にシミュレートする方式など、問題に適したアルゴリズムの検討や利用を支援していく。
竹澤CEOは量子コンピュータに対する期待として、化学物質の計算への適用を挙げる。「例えば、世界中で消費される肥料にはアンモニアの生産が不可欠。量子コンピュータでアンモニアをより効率的に生産できる酵素を計算できれば、世界のエネルギー消費が変わる」(同)として、量子コンピュータが実現しうる未来に対し、今から研究開発で準備を進めていきたい考えを示した。
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