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アプリにアップロードした写真は誰のもの?この頃、セキュリティ界隈で

» 2019年07月22日 08時20分 公開
[鈴木聖子ITmedia]

 自分や友人の顔写真を加工して、若い顔や老け顔にできるという人気アプリ「FaceApp」。人の顔で遊べる機能は確かに楽しいし、Google PlayとApp Storeのレビューでも評価は高い。しかし米国でこのアプリを巡り、「プライバシーは大丈夫なの?」という声が上がった。

photo FaceAppは顔写真の加工機能で人気

 発端は、FaceAppがユーザーのカメラロールの写真を全てサーバにアップロードしているのではないかという疑惑が浮上したことだった。この疑惑については後に、セキュリティ研究者がネットワークトラフィックを分析した結果として、「そうした行為の発生は確認できなかった」と伝えたことで、一件落着したらしい。

 FaceApp疑惑が米国でセンセーショナルに扱われたのは、開発元のFaceAppがロシアの企業だったことによる。ロシアの企業や組織はとにかく怪しい、という認識が根底にあるようだ。

 では自分の国の企業や欧米諸国の企業なら信頼できるのかというと、そうでもないらしい。Googleの音声アシスタントやスマートスピーカーの「Google Home」を巡って、録音されたユーザーの音声が流出したという報道もあった。

 オランダのメディアVRT NWSによれば、流出した音声の中には住所などの個人情報を特定できるものがあったほか、ベッドルームの会話やDVをうかがわせる声など、「録音されてはならないはずの会話」もあったという。

 普段何気なく使っているサービスや、単純に楽しいから、便利だからとインストールするアプリ。けれどそこで提供した自分のコンテンツや個人情報が、一体どこでどんな風に使われているのかは、結局のところよく分からず、相手の企業の善意を信じるしかない。ちなみにGoogleの利用規約にはこんな文言がある。

本サービスにユーザーがコンテンツをアップロード、提供、保存、送信、または受信すると、ユーザーは Google(および Google と協働する第三者)に対して、そのコンテンツについて、使用、ホスト、保存、複製、変更、派生物の作成(たとえば、Google が行う翻訳、変換、または、ユーザーのコンテンツが本サービスにおいてよりよく機能するような変更により生じる派生物などの作成)、(公衆)送信、出版、公演、上映、(公開)表示、および配布を行うための全世界的なライセンスを付与することになります

photo Googleの利用規約

 例によって長ったらしくて分かりにくいけれど、要するに、ユーザーがアプリやサービスを使い始めた時点で、「私のコンテンツは好きなように使って構いません」という許可をGoogleに与える内容と解釈できる。今回はFaceAppの利用規約も一部で問題にされたが、実はその内容はGoogleと似たり寄ったりだった。ただしGoogleの方が、自動的にアップロードされる写真からメール、検索に至るまで何もかも握っているという点で、影響は比べ物にならないくらい大きい。

 FacebookのCambridge Analyticaを巡るユーザー情報流出スキャンダルはまだ記憶に新しい。けれどあれほど大きな騒ぎになっても結局のところ、実態は何も変わっていない。

 今回の騒ぎについてCNNは、「企業が私たちの情報をどう収集し、それに関してどんな権利を持っているのかについて、私たちがどれほど理解していないかを再認識させた」と総括している

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