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» 2019年07月26日 21時35分 公開

“爆買いツアー”は下火、主流は体験重視の個人旅行に 訪日中国人観光客の今

中国で旅行口コミサイトを運営する「馬蜂窩」が、訪日中国人観光客の現状について講演し、爆買いが下火になった背景や中国での観光地プロモーションのコツなどを語った。

[谷井将人,ITmedia]

 訪日中国人観光客といえば、日本製の商品を大量に買い占める「爆買い」が記憶に新しいが、中国で旅行口コミサイトを運営する馬蜂窩(マーフォンウォー)によると、今は爆買いブームは下火だという。その理由は、中国人観光客の主流が団体ツアーから個人旅行に移行しているからだ。

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爆買い団体ツアーから個人旅行へ変化

photo 馬蜂窩の趙冉(チョウ・セン)さん

 中国で1億3000万人のユーザーを抱える馬蜂窩によれば、経済成長とインターネットの普及によって、日本を訪れる中国人観光客の個人化、低年齢化が進んでいるという。

 中国でインターネットが普及し始めた2000年代は、ネット上に旅行の情報が少なく、情報を仕入れる手段は旅行代理店に限られていた。代理店が提案する旅行プランの多くは東京タワーや清水寺など、有名な観光地を中心に回るツアー形式で、観光客はとにかく多くの観光地に行き、写真を撮り、買い物をするスタイルだった。

 2010年代になるとネット上にある旅行のコンテンツが成熟し、旅行代理店を通さずに情報を手に入れられるようになった。個人が自分で観光地の情報を集めてオリジナルの旅行プランを立てるなど、行動が変化。1人あたりのGDP(国内総生産)が4000ドルを超える急激な経済成長で旅行に行く金銭的な余裕が生まれたことも後押しとなったという。

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個人化で都市部と地方の情報に格差

 今の訪日中国人観光客は20〜30代が中心だ。若い観光客は観光地でのレジャー体験を重視する傾向があり、「花火大会に参加するため」「アニメのロケ地を訪れる聖地巡礼をするため」など、目的を持って日本を訪れることが多い。

 一方でこんな課題もある。日本の観光地に関する情報は中国の口コミサイト上にも多く存在しているが、東京や大阪などの大都市や、京都のような有名観光地に偏り、地方の情報が足りないという二極化状態にある。その結果、旅行代理店が企画したツアーであれば地方にも観光客が足を運べたが、自分で情報を集める個人旅行が増えたことで、情報の多い場所に観光客が偏るようになった。

photo ANAの廣岡伸雄さん

 中国と日本を結ぶ20路線を展開している全日本空輸(ANA)の廣岡伸雄さんは、「東京や大阪といった都市は観光客や口コミも多く、中国での知名度が上がりつつあるが、地方への送客にはつながっていない。地方の情報が乏しく、いざ観光に行こうとしても難しくて断念してしまうケースが多い」と指摘。観光地の情報が都市部ばかりになっている現状には危機感を抱いているという。

 「このままでは『日本にはもう何回も行ったから別の国に行こう』となってしまうかもしれない。海外向けのプロモーションだけでなく、(国内の)多言語対応や訪日観光客向けの商品展開などの課題を解決するための仕組みを作りたい」(廣岡さん)

 馬蜂窩は今後、日本の遊園地や量販店、地下鉄や航空などの交通機関に関する記事を中国の口コミサイト上に掲載したり、有名なインフルエンサーを使ったプロモーション事業などを日本の企業と提携して展開する予定だ。

【訂正:2019年7月29日午後12時52分 記事中で、全日本空輸(ANA)の廣岡伸雄さんの所属先を誤って記載していました。訂正してお詫びいたします。】



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