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» 2019年07月31日 06時30分 公開

デジタルネイティブのためのフォントとデザイン:EVでのドライブはフォントとUIの近未来 (3/3)

[菊池美範,ITmedia]
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EV/PHV用急速充電器のフォントとデザイン

 EVを1泊2日で走らせてみて感じたことが2点ある。

 1つは急速充電器の設置されているポイントの情報が十分に得られないことがあったこと。もう1つは充電ステーションのある設備が規模も使い勝手もまちまちで、少し使いにくかったことだ。

 例えば高速道路のSAやPAにある充電ステーションに到着すると、そこには充電が始まって間もないEV・PHV車両が使用中でふさがっていたことが少なからずあった。場所によっては複数台の充電待ちが発生しており、到着から充電完了まで2時間近くを要したこともあった。走行中、メーターパネルやセンターコンソールに表示される充電ステーションの情報は限られており、PCやスマートフォンで充電器のスペックや台数は調べることができても、充電ステーションの混雑状況までは確認することができなかった。これは充電ができなければバッテリー切れ=ガス欠ならぬ電欠となってしまうEVにとっては困ったことで、クルマと充電ステーションの使用状況はリアルタイムに連動して、文字やアイコン、音声で最適なナビゲーションをしてほしいと強く感じた部分だ。フォントやデザインがどうこうという以前の問題である。もっとも、これらの問題は緩和に向けて整備・開発されていることを期待したい。

 日本全国にある化石燃料を扱ったスタンドは、セルフでの給油が一般化したときにユーザーの抵抗感はそれほど強くなかったように記憶している。給油するための手順はセルフ体験済みのドライバーなら誰でも知っており、それが面倒に思うユーザーにとってはスタンドのスタッフによる人力サポートにお任せすればよいことだ。一方、急速充電器の使い勝手は製造メーカーによって差が大きく、充電開始から終了まではユーザーの手に作業が委ねられる。ユーザーが外出先で介在しなければならない機器のデザインやフォントこそ、もっと配慮が必要なのではないだろうか。

photo 新潟県の「道の駅しなの」駐車場内にある充電施設。充電器はこの1台のみで発電規模は20Kwと規模が比較的小さい(SA/PA上の急速充電施設は40-50Kw)。このため30分の急速充電ではバッテリーの充電率があまり上がらずに苦労した。操作系はいたってシンプルで使いやすいが、充電経過時間と充電率を示すモノクロの表示パネルは近くに寄らないと状況が分かりにくく、この点は有機ELを使ったカラー表示にして欲しいと感じた。緊急停止ボタンに「EMERGENCY」の英語表記があるだけに「スタート」「ストップ」に英語表記がないのが惜しい
photo 中央高速道の小布施PA内にある充電施設。いかにも「設備機械」という感じの充電器だが、最大50kwと発電量が大きく、ミニ発電所といった感じだ。説明書きのステッカーは実用的ではあるが、情報整理が未消化でちょっと読みにくい。クルマ好き、機械好きなドライバーでなければ戸惑ってしまうかもしれない
photo 小布施PA内の急速充電設備はカラー表示パネルが大きめで状況を確認しやすい。ただし、ここでも英語表記が十分でない上、フォントもあまり読みやすくはない。設計上やむを得ないのかもしれないが、フォントとUIをもっと統一したり、機器やパネル/ボタンのカラーやサイズにもっと厳密なルールを用いるなど、UIのデザイナーがもっと関わることができる分野だと強く感じた
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photo 中央高速道の横川SA内にある充電施設。ここの充電機は日産が設置をサポートしているもので、他の充電施設で使ったものよりも機器のデザインは洗練されている。ただし、充電コントローラーと充電機本体の関係が直感的に分かりにくく、使い方の説明も充電機側面と別れているために、使い始めまで少し悩んだ。もっとも、ここが初めての充電体験だったことにも原因はある。これ以降はさほど悩むことなく、ドライブ終了時には作業にも慣れた
photo 充電中はパーキングエリア内のレストランやカフェテリアで食事や休憩をすることもできるが、公共の高速充電施設は「1回30分で充電の『お代わり』は控える」というマナーがあるため、このスペースを使ってそれほどゆっくりはできない。充電後は改めてエリア内の駐車スペースに移動するか、そのまま出発してしまうかの二者択一となるので、その点は注意する必要がある。

旅の終わりに

 化石燃料を中心としたクルマ社会のインフラにEV・PHV、水素燃料電池車などが加わってきた今世紀は、クルマでの移動を安全で快適にするためのリアルタイム情報表示がとても重要になっている。人の命と安全に関わることなので、フォントやデザインの面でも統一性と分かりやすさを、もっともっと進化させてほしいと強く感じているのだが、この分野はまだ成熟には遠く、フォントの扱いやデザイン面では発展途上かつ初期段階にある。充電設備でのUIの不統一や使いにくさは早急に改善してほしいポイントであり、インフラ全体をより安全・快適にするための交通行政と自動車・道路設備メーカーが連携したコンソーシアム設立が急務ではないかとも感じた。

 それでも、日産のプロパイロットによる運転支援システムやEVでの体験は貴重なもので、10年後、20年後のモビリティではフォントとデザインのシステムが洗練されてグッと使いやすくなっていると確信している。

 今回で旅シリーズはいったん終了し、次回からはフォントのあり方や使い方を巡る新展開を予定している。

 それでは夏の終わりまで、快適なドライブと良い旅を。

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