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» 2019年07月31日 06時17分 公開

日本のゲーム産業はクラウドで活性化できるか? (1/2)

アリババクラウド・ジャパンサービスが、日本のゲーム企業の活性化をテーマにセミナーを開催した。その詳細レポートをお届けする。

[山崎潤一郎,ITmedia]

 Googleがゲームのストリーミング配信プラットフォーム「STADIA」を発表し、ソニーはMicrosoftとゲームクラウドで手を組んだ。Appleは定額制のゲームサービスを準備中だ。通信インフラの分野では5Gの本格始動が間近に迫る今、ゲームビジネスの世界では地殻変動が起きようとしている。このゲーム新時代にあって、果たしてゲーム企業生き残りのカギはどこにあるのか。ゲーム業界の識者が熱い討論を交わすセミナーをレポートした。

 中国IT大手アリババ・グループのアリババクラウド・ジャパンサービスが日本のゲーム企業の活性化をテーマにしたプレス向けセミナーを7月23日に開催した。「ゲームをボーダーレスに ― クラウド技術を活用した、日本のゲーム企業の活性化」と題したこのセミナーでは、同社のクラウドサービスを通じて、主に日本の中小のゲーム企業に向けたメッセージが込められていた。

 同時に、このセミナーでは「Japan SME Gaming Support(JSGS)」も紹介された。JSGSは、新しいゲームを開発するにあたり、アリババクラウドが提供するゲーム向けのソリューションと統合プラットフォームというインフラをベースに、ゲーム企業向けのサポートを提供するプログラムだ。さらに、単にインフラの提供だけではなく、ビジネスプラン、コンテンツ開発、流通、中国のゲーム会社との連携による共同開発など、あらゆるリソースでのサポート提供を明言している。

開発に5億円、プロモーションに2〜3億円が当たり前の世界

 まず始めに登壇したのは、アリババクラウド・ジャパンサービスのカントリーマネージャーであるユニーク・ソン氏。「年末までに、JSGSを通じて、ゲーム分野で200社の日本の中小企業をサポートすることを目指しており、ゲームエンジン開発、音響効果設計、そして能力開発のようなサービスも近いうちにもJSGSプログラムに盛り込んでいく予定」とぶち上げた。

photo アリババクラウド・ジャパンサービスのユニーク・ソン氏

 さらに「ボーダーレスなゲーム市場での商機を捉えるために、アリババクラウド・ジャパンサービスのゲーミングソリューションを活用してほしい」と力説した。「中国進出を考えているゲーム企業には、アリババグループが保持しているビジネスリソースを惜しみなく提供する。例えば、アリババグループのECプラットフォーム『天猫』(Tmall)と連携してゲーム関連製品の販売支援なども可能」とサポートを約束する。

 次に登壇したのは、ジェミニエンタテインメント代表取締役の黒川文雄氏。セガ・エンタープライゼス、ブシロードなどでゲームビジネスに携わっていた経験を踏まえ、これからのゲーム業界の方向性を総括した。「モバイルゲーム市場の拡大に伴い、ここ数年でゲームアプリ開発の予算が肥大化している。開発に5億円、プロモーションに2〜3億円といったレベルが普通になった。メジャー資本のコンテンツばかりが注目され、『インディ開発者の奇跡』といった事例は稀になった」と現状を分析する。

photo ジェミニエンタテインメント代表取締役の黒川文雄氏

 Google「STADIA」やAppleの「Apple Arcade+」にも言及。「日本の開発者も続々と参入を目論んで開発を始めている」と明かす。さらに、音楽産業の変遷になぞらえ「ライブエンタメ市場が成長している。ゲームにおいてもそこに参加したという原体験が問われる。そのためには、ネットワークでつながることが大切」と、5G、eスポーツ、サブスクリプション配信といった新技術への順応が不可欠と訴えた。

 3番目の登壇は、SQOOL代表取締役の加藤賢治氏。モバイルゲーム市場に精通する加藤氏は、「パズル&ドラゴンズやモンスターストライクといった大型タイトルが長期的に人気を得る傾向にある」と日本の現況を紹介した後、「最近はトレンドに変化が見られる。個人や小規模のインディ開発者のゲームが上位にランクインし始めている」とインディ開発者にもチャンスが巡ってきたという。

photo SQOOL代表取締役の加藤賢治氏

 中国のゲームにも精通しており、「中国系タイトルは文化的な背景や美的センスが近いということで、日本でも受け入れられやすい。その逆もしかりで、日本から中国からへの進出も積極的に行ってほしい」と訴える。その上でカジュアルゲームに着目する。「日本のカジュアルゲームを中国に持っていこうという動きがある。カジュアルゲームであれば、開発費が抑えられるので中小開発者でも参入が可能。最近は、大企業でもこの分野に取り組み始めている。中国は、市場が大きいのでカジュアルゲームであってもヒットが期待できる」と明かす。

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