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「からくり計算器」「ゲームボーイシンセサイザー」「手のひらサイズお絵かきマシン」──“自作”の祭典「Maker Faire Tokyo 2019」で見た個性的な作品たち(2/2 ページ)

» 2019年08月04日 08時20分 公開
[井上輝一ITmedia]
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 他の人がただたたいても音は鳴らない。音が鳴るのは、男性とギターアンプをケーブルで電気的に接続しているからだ。ブラウン管テレビはディスプレイ表示に電子銃を用いているため、ディスプレイ近くが帯電する。男性がディスプレイに触るとその電気変化がアンプへ伝わり、音となる。

 この人と手をつなげば、他の人がテレビを触っても音が鳴るようになる。ディスプレイの縞模様は細かいほど音が高くなるという。

 これは「エレクトロニクス・ファンタスティコス!」という、古い電化製品を楽器に変えるプロジェクトの作品の一つ。アーティストの和田永さんが主導している。

男性の足に接続しているケーブル

コイルを薄型化した「基板テスラコイル」

テスラコイルのコイル部分を基板に埋め込んだ「基板テスラコイル」

 テスラコイルの実演サービスを手掛ける「高エネルギー技術研究室」のPJさんは、コイル部分を基板に埋め込み薄型化した「基板テスラコイル」を展示している。

 テスラコイルは、交流電流を発明したニコラ・テスラによって考案された高周波・高圧電流発生装置で、周囲に稲妻のような放電を放つのが特徴。

 円筒の上にドーナツ型の電極を取り付けた形状が一般的だが、PJさんはコイル部分を基板化することでサイズを小さく収めた。

 展示中、基板テスラコイルからの放電は触って確かめられる。指先で触ってみると、輪ゴムで弾かれているような感触だった。ライターの発火に使われる圧電素子に感電した際の感触に近い。

サンプル用の基板。光に反射させるとレコード盤のようなコイル構造が分かりやすい
従来のテスラコイルを用いた音楽演奏も行っていた

マイコンでゼンマイ式時計を高精度化

ゼンマイ式時計の振り子に磁石を取り付け、コイルで振り子の間隔を調整している

 「木楽らぼ」では、ゼンマイ式時計の時間精度をマイコンで上げる仕組みを展示している。

 木楽らぼの管理人さんは、「磁石とコイルを反発させると振り子の速度が遅れ、引き寄せると速度が速まる」と原理を説明。ネットワーク時刻と振り子のずれから、マイコンがコイルを操作して振り子を調整し、時間を刻む精度を上げるという。

振り子の下に磁石が付けられているのが分かる。さすがにゼンマイが完全に開いてしまうと振り子を維持できないという。

コンデンサー盆栽

コンデンサーの上に緑のスポンジや小さな植物を生ける「コンデンサー盆栽」

 電子部品のコンデンサーを鉢に見立て、緑色のスポンジを盛ることでコケを表現。さらにスポンジで小さな植物を生け、電子部品が役目を終え、苔むした様子を表現している。

 作者は大学生のへぎさん。大学の「Arduino」の授業でコンデンサーを手に取った際、インスピレーションを受け、以来コンデンサー盆栽を作り続けているという。

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