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日本で使える中国のコード決済サービス、為替変動のリスクは? 決済サービス乱立の先に(2/2 ページ)

» 2019年08月08日 07時00分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]
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加盟店側は為替変動のリスクがある?

 ここで気になるのは、「後日の入金」という部分における為替変動リスクは誰が引き受けるのかという点だが、為替変動は全て中国側で引き受けるため、店舗には手数料を引いた販売金額がそのまま振り込まれるという。

 さらに中国ではコード決済に対する感覚も異なる。日本でコード決済といえば現金、クレジットカード、デビットカードなどと並ぶ決済手段の1つという位置付けだが、中国のコード決済は、その多くが個人間送金というイメージに近い。コード決済を行う度に、ひも付けされた銀行口座から引き落とされるわけではなく、多くのユーザーがコード決済事業者の口座にお金をプールしている。銀行口座に給料が振り込まれたら即、Alipayなど事業者のQRコード口座に全額移動させて生活している人が多いという。また、銀行口座ではなく事業者の口座にプールしたがる理由もある。

 それは、事業者はユーザーがプールした金額を運用し、年利2パーセント程度の利回りで還元している点だ。「以前は、年利4%台だったが、銀行側の圧力や国の規制でだんだんと下がってきた」(林部長)。中国でも、新興フィンテック企業とレガシーな金融機関がせめぎ合っているということだろうか。

中国でもコード決済が乱立していた その後どうなった?

 最後に、現状の日本でQRコード決済サービスが群雄割拠する状況について林部長に聞いた。「あくまでも個人的な見解」と前置きした上で「かつての中国でも、Alipayでアリババが先行したQRコード決済に、テンセントのWeChat Payを含め、他にも100社近くの企業が参入した。しかし、結局は、AlipayとWeChat Payで9割以上のシェアを取る寡占状態になった。日本でも今後淘汰が進むのではないか」と予想する。

 経産省が設立したキャッシュレス推進協議会の資料によると、現時点での日本のキャッシュレス決済比率は20%を超えた程度だ。これを2025年に40%まで伸ばせるようにしていくという。とはいえ、現金しか受け付けない店舗もまだまだ多い。

 遅れているとされる日本のキャッシュレス決済の今後はどうなるのか。10月の消費税率引き上げで導入される政府主導のキャッシュレス消費者還元事業が試金石になりそうだ。

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