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日本と中国、AIで明暗分かれる理由は メルカリ×マスクド・アナライズ対談これからのAIの話をしよう(AI対談編)(2/4 ページ)

» 2019年08月22日 07時00分 公開
[松本健太郎ITmedia]
濱田さん

濱田:どこと比べて後進国と言っているかですが、例えば中国にあるAI企業は、日常的な意識のレベルも出てくるプロダクトのレベルも違います。アカデミックの観点で見ると違う(後進国ではない)側面はあるのかもしれませんが、孫さんの言う通りで、ビジネスで見ると日本は完敗です。

マスクド:中国は動きが早くて、いろいろなサービスがどんどん出てきますよね。TikTokのようなアプリだけでなく、シェア自転車や個人向け信用情報などのサービスまで、実に幅が広い。

濱田:中国に行っていろんな会社を訪問すると、場合によっては一緒に協業しますかという話になったりします。時間軸の違いには驚かされますね。(プロダクト開発などで)僕らが「これ2〜3カ月かかるかな?」と発言すると、「Monthって言いました? 2〜3週間でしょう」と返されるんです。ベンチャー企業が日本の大企業と仕事したときに「2〜3年かかる」と言われて「え、年?」と思うことがあるでしょうが、中国では僕らがそれを言われる側になるんです。

――日本と中国を比べて、そこまで圧倒的な差が開くのはなぜでしょうか。

マスクド:スピード感の違いでしょう。日本企業は二言目には「社内調整」と言います。要は根回しです。メルカリさんのようなベンチャーの勢いで巻き返してほしいですね。失敗しても良いじゃないって思ってるんですが。

濱田:失敗を避けるより、失敗から学ぶ方が重要です。

マスクド:メルカリさんもいろいろな失敗をしてきて、撤退した事業もありますよね。でも、そこで得た経験やノウハウは他の人たちに伝播(でんぱ)して次の機会に生きます。失敗を必ずしも悪と受け止めない社会にしないと、失敗から何も学べなくなります。

濱田:日本人の多くは失敗が怖いからなのか、挑戦者のような人が少ないかもしれない。僕がメルカリに入ったきっかけは、山田(創業者の山田進太郎氏)が「世界で使われるようなインターネットサービスを作りたい」という、自分がこれまで考えたこともなかったビジョンを掲げてチャレンジをしていたからなんです。そのビジョンがあるから、今いるメンバーがついてきたというのもあります。「AIでこういうことを実現しよう」と語れる人が、日本には少ないですよね。

マスクド:熱量ってすごく大事だと思っています。私も前の会社(現在はフリーランス)に入社したころは従業員は10人くらいだったのですが、社長の「データ分析やAIをもっと広めよう」という熱があったからこそ飛び込めました。山田さんや孫さんの話もそうなんですが、やはり社長の熱さは欠かせません。

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