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日本と中国、AIで明暗分かれる理由は メルカリ×マスクド・アナライズ対談これからのAIの話をしよう(AI対談編)(3/4 ページ)

» 2019年08月22日 07時00分 公開
[松本健太郎ITmedia]

――日本の多くの大企業はサラリーマン社長だからなのか、マスクドさんが指摘されるような熱量が見えてきません。しかし、それだけで中国と日本でここまで差が開くものでしょうか。中国のスピード感の源泉は何なのでしょう。

濱田:私の印象ですが、中国には「ビジネスで成功してより豊かになりたい」と思っている人が多いと思います。彼らの多くはアグレッシブです。海外旅行をすると実感しますが、日本は本当に良い国で裕福で、世界からも信頼されています。でも、そこで満足していませんか。アグレッシブになろうとする人が少ないのかもしれませんね。

マスクド:安定志向は影響するでしょう。学生でもまだまだ大手志向の人は多くて、「ベンチャーは怖いし不安」という印象を持たれています。もしかしたら会社がつぶれるかもしれないですし。データサイエンティストという職業にしても、どんなスキルがどのくらい求められるか分からないですよね。だから大企業に行けば大丈夫だし、安心だろうと思っています。でも、それだけを理由にして会社を選ぶのは、ちょっともったいない気がします。

――ちなみに、メルカリにも新卒が入社されていると思いますが、濱田さんが中国で感じられたアグレッシブさや熱量を新卒から感じますか?

濱田:感じますね。良いエンジニアは、技術で世の中を変えたいと思っています。メルカリではそういう機会がたくさんありますから。

熱量と技術を両立させる

――経営者の熱量に絡めて質問です。「データサイエンティスト養成読本 ビジネス活用編」(技術評論社)という書籍で、メルカリの樫田光さんが「取締役や執行役員でも必要な場合にはSQL(データベース言語)を書いている」と書いていて、データサイエンティスト界をザワつかせていました。

濱田:はい、全員SQLは書けると思います。恐らく本当に初期のころはコードも書いていたかと。私も必要に迫られたら今でも書きます。待つより早いでですし、そもそもSQLはそんなに難しい言語でもないでしょう。誰かに指示する手間を考えたら、パッと書いてしまった方が良いなと。むしろ、そういう環境が用意されていることが大事だと思います。

――とんちんかんな意思決定をしないためには、熱量だけでなく技術に対する目利きや感覚も必要ですよね。ですが技術は日進月歩、少し離れてしまうと感覚が鈍って全然分からなくなってしまいませんか。濱田さんはどうやって勉強時間を確保されてますか。

濱田:最近は本当に忙しくなってしまって、勉強する時間がなくて・・・・・・。去年の末ぐらいに(アプリごとの利用時間が分かる)iPhoneのスクリーンタイムを見たら、1日3時間SNSを見ていることが分かって、あれは衝撃でしたね(笑)。今年に入ってからはSNSを見る時間を減らして、勉強に充てています。1日3時間勉強できるとすれば、英語を30分、AIを30分というようにコツコツやれればいいですよね。

 SNSを見なくなったので、最新のトレンドには鈍くなってしまったかもしれません。でも気になるニュースは社内で共有されるので。社内にいろいろなコミュニティがあるのは良かったです。SNSを見なくなって困るのは、そんなに親しくない友達の近況が分からなくなることですかね(笑)。

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