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厚労省が「リクナビ」運営元に行政指導 内定辞退予測は職安法違反

» 2019年09月06日 18時38分 公開
[ITmedia]

 就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアは9月6日、学生の内定辞退率を予測して他社に販売するサービス「リクナビDMPフォロー」(8月4日付で廃止)が職業安定法に違反したと判断され、厚生労働省から東京労働局を通じて行政指導を受けたと明らかにした。

 体制の改善や同法に沿った事業運営を求められたといい、同社は「今回の指導を厳粛に受け止め、従業員一丸となって改善に取り組む」としている。

 リクルートキャリアによると、厚労省による指導の内容は(1)全ての求人情報提供事業と職業紹介事業に職安法違反がないかを確認し、是正と再発防止策を講じること、(2)内定辞退率の算出・提供の対象になった学生からの問い合わせに丁寧に対応すること、(3)職安法に沿った事業運営を行うこと――など。同社は今後、これらを実行しながら事業を運営する方針だ。

photo リクルートキャリアによる発表

 同社は8月26日にも、リクナビDMPフォローが個人情報保護法違反に当たると判断した個人情報保護委員会から、全社的な意識改革などの措置を講じるよう指導を受けていた。これを踏まえて策定した、サービス開発時のチェック体制の是正や、リクナビ事業への「プライバシー責任者」の設置といった改善策も、並行して進めるとしている。

 リクナビDMPフォローは、リクルートキャリアが18年3月〜19年8月に提供していた。(1)顧客企業から応募者の個人情報(19年2月まではCookie情報、3月以降は氏名など)を提供してもらう、(2)リクナビの持つ情報と照合し、利用ブラウザや個人を特定する、(3)行動履歴を過去のリクナビユーザーのものと照合し、内定辞退率のスコアを算出する――という仕組みで、スコアを34社に納品したという。

 だが、リクナビのプライバシーポリシーに不備があり、一部の学生から事前に同意を得ないまま、顧客企業と個人情報やスコアをやりとりしていたことが8月2日に発覚。法的・倫理的な観点から批判を集め、8月4日にサービスを廃止した。

 リクルートキャリアの小林大三社長は8月26日に開いた記者会見で、「学生への配慮と、社内のガバナンスが不足していた」と不備を認めて謝罪していた。

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