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» 2019年09月27日 13時10分 公開

イノベーション・ジャパン2019:チョウ型ドローン、エアチューブ式人工筋肉、キューブ状ガスボンベ──最新の国内技術をチェック (1/2)

テクノロジー見本市「イノベーション・ジャパン2019」で展示された、最新の国内技術をピックアップして紹介する。

[林佑樹,ITmedia]

 2019年8月29〜30日に開催された、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と科学技術振興機構(JST)主催のテクノロジー見本市「イノベーション・ジャパン2019」(東京ビッグサイト)。大学や企業の意欲的な技術が見られる展示会であり、展示ジャンルも多岐に渡る。

 その中でも実用化が近そうな、少し未来の技術をピックアップして紹介する。

残るは無線化 足掛け15年の「チョウ型ドローン」

 東京電機大学では、生物の動きをロボットに生かす「バイオミメティクス」によるチョウ型ドローンの研究が進んでいる。

 ドローンといえば4基以上のプロペラで飛ぶ姿を思い浮かべるが、この小型ドローンはアゲハチョウの飛翔メカニズムをお手本にしている。実際のチョウと同じ、手のひらサイズのモデル開発に取り組んでいる。

 用途は災害現場など狭い空間の観測システムや、アミューズメント施設での活用を想定しているという。

小型チョウ型ドローン。アゲハチョウとほぼ同じサイズで、重量も0.5グラムと本物に近い

 開発に携わる藤川太郎准教授は、小型かつ軽量・シンプルなドローンの研究過程で、騒音もなく、秒間約10回程度のはばたきという小さなエネルギーだけで宙を舞うアゲハチョウのメカニズムに注目した。

 アゲハチョウは、翅を下向きに動かす際に上昇しつつ、身体を起こす。次いで、翅を上向きに動かすときに前進する。このメカニズムを取り入れるべく、約15年前から研究を開始した。現在は上下左右の飛行制御を実現しており、有線電力供給での羽ばたき飛行も実証済みだ。

 積載重量は自重の約1.5倍まで。アミューズメント施設などでのエンターテインメント用途の他にも、介護施設などから「監視のストレスを感じさせないカメラ」としてチョウ型ドローンにカメラを搭載したいという相談もあったという。

 無線飛行に当たっての課題は、数百ミリグラムのバッテリーと数マイクロメートルの翅用フィルムの調達だとしている。

ゴム・アクチュエータと小型モーターとシンプルな構造も特徴
アゲハチョウの飛行メカニズム

軽量で応用範囲の広い人工筋肉

 東京工業大学が行っていた展示の中で、ひときわ目立っていたのが「空気式人工筋肉」だ。

 人工筋肉の駆動方式にはいくつか種類があるが、東京工業大学が岡山大学と共同で開発したものは、ゴムと空気で動く「細径マッキベン型人工筋肉」というもの。

 この方式では、ゴムチューブの外周をメッシュで包む。このチューブ内に空気を送ると、チューブが軸方向に収縮し、筋肉のように動く。原理自体は1960年ごろに登場したが、東工大などの研究グループが開発したものはゴムチューブの外径が2〜5ミリと従来より細く、しなやかである点が強みだという。駆動するコンプレッサーにも小型製品を採用し、軽量化を図っている。

人型のロボも可能であるという意味での展示腹部にコンプレッサーがある 人型ロボにも適用可能 腹部にコンプレッサーがある
あちこちにある束が人工筋肉
マッキベン型人工筋肉の動作原理

 用途としては、介護スタッフの支援やロボット駆動への応用を想定している。介護スタッフの肉体的負荷を軽減する全身サポートスーツの開発が進んでいる他、ロボットの駆動に生かすべく、制御面での実験も行なっているという。

部分的に人工筋肉を採用したサポートスーツのサンプル

ペットボトルがそのまま「羽根」になる新型風車

 長岡技術科学大学は、羽根らしい羽根がないのに、風を受けてくるくると回る「新型風車」を展示している。

 風車といえば、板状のプロペラで風を受けて回転するものが一般的だ。しかし、風力発電で巨大かつ効率的に風を受け止めるには、材料や形状に工夫が必要になり、コストがかさむ。

 そんな風車事情の課題を解決できそうな新しいアプローチが、同大の「縦渦リニアドライブ」技術だ。この技術を応用すれば、ペットボトルをそのまま羽根にできてしまうという。どういうことなのか。

縦渦リニアドライブ。声に出すと必殺技感にあふれる

 縦渦リニアドライブの原理は、送電線が強風で激しく揺れる「ギャロッピング」という現象の研究に基づく。

 ギャロッピング現象とは、雪や氷が付着した状態の送電線に強風が当たったときに、通常起こらないような大きな揺れが起きる現象だ。これが理由で電線がショートすることもある。

 同大の研究グループはギャロッピング現象の振動を抑える研究をしている。その研究過程で、円柱の後ろに十字になるように平板を設置すると、「カルマン渦」という渦現象によって振動を抑えられることを発見した。一方、円柱と平板間の隙間が狭い場合には、カルマン渦ではない「縦渦」によって振動が起こることも分かったという。

 その縦渦による振動抑制の研究を進めていく中で「縦渦リニアドライブ」が見つかった。円柱が平板に沿って移動すると、後方に縦渦が発生し続ける。すると円柱の進行方向前後に揚力が生まれ、回転が始まるという。

円柱に揚力が生まれる仕組み。これに円形の平板を加えることで新しい形の風車が生まれた
円柱(翼)をネオジム磁石に変更して、平板にコイルを設置した発電機バージョンもあった。応用が効きそうだ

高圧ガス容器を容量そのまま「28センチのキューブ」に

キューブ状ガスボンベ「CubiTan」

 ガスボンベといえば、緑色で細長い円柱状のものがスタンダードだ。しかし、多孔質の材料(多孔性配位高分子)の活用を手掛けるAtomis(京都市上京区)は、高さ150センチのガスボンベ容量を一辺28センチのキューブに収めてしまう新型ガスボンベ「CubiTan」を開発している。

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