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エッジコンピューティングとクラウドの「切っても切れない関係」(1/2 ページ)

» 2019年09月30日 17時21分 公開
[谷川耕一ITmedia]

 クラウドの利用が当たり前になりつつある一方、新たに注目を集めているのがエッジコンピューティングだ。

 IoTのセンサーや各種端末デバイスの近くで分散して処理を行うコンピュータリソースのことを、エッジコンピューティングと呼ぶ。エッジコンピューティングが稼働する場所は、雲(クラウド)のこちら側のオンプレミスだ。では、同じようにオンプレミスで動くプライベートクラウドとはいったい何が異なるのだろうか。

IoTの台頭で注目を集めるエッジコンピューティング

 調査会社のIDCが6月に発表した予測によれば、IoTを構成するマシンやセンサー、カメラなどのインターネットに接続されるデバイスの数は順調に増えており、2025年にはIoTデバイスの数は416億個、そこから年間79.4ゼタバイトのデータが生成される見込みという。今この瞬間にも、世界中に散らばる膨大な数のIoTデバイスから大量なデータが生成されているのだ。

 このIoTデバイスで生成されるデータの多くは、クラウドに集められ蓄積される。それを分析し何らかの知見を得て、ビジネス革新やスマートシティーの実現などに活用される。

 とはいえ、生成されるデータがあまりにも膨大なので、それを全てクラウドに上げるとなればネットワーク接続の問題も出てくる。さらにはいくら安価で拡張性があるとはいえ、極めて膨大なデータ全てをクラウドに溜め込むのはコスト的にも負担が大きい。そもそもセンサーなどから生成されるデータ全てが、新たな知見を得るために必要とは限らない。

 さらに、いったんクラウドに集めてから処理するとなると、リアルタイムな要求に応えることが難しくなる。例えばセンサーデータをネットワーク的に遠くにあるクラウドに渡し、結果が返ってくるのを待っていたのでは、瞬時な判断が要求される自動運転は実現できない。工場ラインの最適な制御なども同様で、いちいち制御情報をクラウドから取得していたのでは、製造装置などのタイムリーで適切なコントロールは難しくなる。そのためリアルタイムに制御できるよう、センサーなどのすぐそばにあるエッジで処理できなければならないのだ。

 これらの理由から、IoTデバイスのより近くで処理をする必要がある。それを実現するのがエッジコンピューティングというわけだ。IoTセンサーのすぐそばにサーバを置き、データをフィルタリングして必要な情報だけをクラウドに渡す。そのためのフィルタリングゲートウェイの役割がエッジコンピューティングにはある。

 あるいは、エッジコンピューティングに機械学習アルゴリズムなどを組み込み、流れてくるセンサーデータなどを瞬時に処理し、機器をリアルタイムに制御するのだ。これらを行うためにセンサーなどのそばにサーバを置くだけでなく、IoTデバイスそのものに相当のコンピューティング能力を持たせ、IoTデバイスそのものがエッジコンピューティングの役割を担う場合もある。

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