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AI記者、AI小説家、そしてAI作曲家も――創作する人工知能を支える技術よくわかる人工知能の基礎知識(1/5 ページ)

» 2019年10月07日 07時00分 公開
[小林啓倫ITmedia]

 画像認識や自然言語処理といった技術の進化で、機械は人間と同じように周囲の環境および言葉を認識できるようになってきている。最近では機械が文章を書いたり、絵を描いたりする例も出てきた。今回は、こうしたコンテンツ生成の事例や技術についてまとめた。

AIがスポーツ記事を作成

 米国のローカルメディアRichland Sourceが開発した「LedeAI」は、スポーツ記事を作成するAIだ。さまざまなスポーツの試合結果を共有するサイトScoreStreamから高校スポーツに関するデータを取得し、あらかじめ学習させたスポーツニュースの記事構成パターンに当てはめて記事を作る。

 2018年に行われた実証実験では、6カ月間で1万8000本以上の記事を書き上げた。作成された記事を人間がチェックしたところ、その内容に誤りはなかったという。ScoreStreamを見ても必要な情報は手に入るが、記事としてまとめたほうが試合内容をイメージしやすいだろう。

 こんな指摘もある。米カリフォルニア大学サンタバーバラ校と米陸軍の共同研究によると、多くの人がコンピュータよりも自分の能力のほうが高いと信じ、たとえAIが良いアドバイスをしても聞く耳を持たないケースがみられたという。上記の例だと、人間の記者が記事を執筆するのをAIがサポートすることも十分考えられそうだが、肝心の人間がAIを使いこなそうとしなければその恩恵は受けられない。

 では、コンピュータに対する信頼度はどうすれば高まるのか。これも研究によって、人間に近いコミュニケーションをすれば信頼度が上がることが分かっている。例えばスマートスピーカーやチャットbotで人間の話し言葉に近い形でコミュニケーションすると、人間は機械にも親近感を覚えるはずだ。

AIが描いた絵が4900万円で落札

 最近では、人間の特権とされていた創作活動の領域にもAIが入り込んでいる。

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