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日本を変える「テレワーク」

「部下を信頼しないとテレワークはできない」 “性善説のマネジメント”が社員の自律性を育てる理由(3/3 ページ)

» 2019年10月10日 07時00分 公開
[綿谷禎子ITmedia]
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課題は「管理職の意識改革」 社員のモラル向上も

 新人事プロジェクトの始動から約1年が経過したが、その成果を数値化する作業はまだまだこれからだという。住谷執行役員は「感覚的には総労働時間は10%くらい減っている印象です」と話す。テレワークやフリーアドレスなどの導入により、「隣の席の上司が残っているから、先に帰りにくい」という余計な忖度(そんたく)もなくなり、無駄な残業がなくなったという感覚はあるそうだ。

 社員のパフォーマンスの測定は、管理職のこれからの課題。今まではみんなが机を並べて同じ空間に座っていたが、テレワークをすれば部下たちが一斉に目の前からいなくなる。住谷執行役員は「仕事の成果についても、より本質を見ないといけなくなりました」と話す。

 「各人の本質を見なきゃいけない状況になると、管理職のマネジメントも変わってきます。マネジメントの本質をしっかり考えて、チームマネジメントの意識や行動を変えていかなくてはいけません。私自身がそうであったように、(テレワークを導入すれば)きっと前より部下とコミュニケーションを取るようになると思いますよ」(住谷執行役員)

 また、管理職の意識改革と共に、全社で定期的に情報セキュリティテストを実施することで、社員全員のモラル向上を図っている。どこからでも社内ネットワークにアクセスできるなどの利便性はあるが、PCやスマートフォンの紛失、情報漏えいといったトラブルには慎重にならないといけない。

 「社員には、現状維持は悪であり、変わることが大切だというメッセージを投げ続けています。テレワークのスタイルが合わない社員もいると思いますが、社員一人一人が自律的に考えて行動するサイクルを作っていきたいですね」(住谷執行役員)

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