秘密のベールに包まれたAWSのユーザーグループ、とするのは言いすぎだろうか。ただ、「E-JAWS」でググッても、情報が極端に少ないのは確かだ。そんなE-JAWSがこのほどメディア向けの説明会を開き、概要を説明した。
AWSのユーザーグループとして広く知られているのは「JAWS-UG」だ。こちらはオープンなグループで、希望すれば誰でも個人として参加できる。イベントや勉強会についても、万人に向けて門戸を広げている。一方、E-JAWSの「E」がエンタープライズを表すように、こちらは企業単位での入会が条件だ。しかも、一定の資格を有した企業でないと入会が許されないという、極めてクローズドなユーザーグループなのだ。
入会条件は後に詳述するとして、まずはE-JAWSの概要をお伝えしておこう。
E-JAWSとして正式に発足したのは、2013年11月。19年10月現在で、184社の情報システム部門のリーダーを中心に433人が入会している。会の目的は、AWSの活用事例、構築や運用における課題や改善情報などを会員間で共有し、ディスカッションすることだ。会員のみが参加する非公開の総会を定期的に開いている他、「セキュリティクラウド運用」「金融」といった分科会も開いており、より専門的な情報を共有できる体制も整えている。
クローズドな形で運営している理由について、E-JAWSの事務局長であるアマゾン ウェブ サービス ジャパンの岡嵜禎氏(技術統括本部長)は、「クラウドを推進するために上層部をどう説得するのか、人材育成はどうするのか、といった、エンドユーザーとしての日々の課題、疑問、悩みを本音ベースでぶつけあい、意見交換する場なので、企業としては公開できない情報も多く含まれるからだ」と説明する。
ここまでの情報だけでは、フリーメーソンばりの秘密結社めいた匂いが漂うが、年に1回、公開型のカンファレンスを実施し会員企業を募集している。19年は「E-JAWS カンファレンス 2019 TOKYO」と題した定員400人のイベントが1月22日に東京の品川で開催された。
公開カンファレンスを開いたり、今回のようにメディア向けの説明会を開くわけだから、秘密結社というのは言いすぎだとしても、入会に条件があり排他的な面があるのは確かなようだ。
説明会では、E-JAWSの会長が交代したことも明かされた。新会長に就任した京王電鉄 の虻川勝彦氏(経営統括本部デジタル戦略推進部長)は、入会条件について、「AWSを検証や試用ではなく本番導入している、ユーザー企業であること。SIベンダー企業にはご遠慮いただいている」と明言する。「SIベンダーお断り」について虻川氏は「お付き合いのあるSIベンダーが入っていると本音で話せなくなる」とその理由を語る。
もう一点気になるのが、入会条件における企業規模だ。資本金や従業員数などの数字的な決め事はあるのだろうか。前会長でフジテック常務執行役員の友岡賢二氏(デジタルイノベーション本部長)は「企業規模についての線引きは難しい。熱量があり、コミュニティーに貢献してくれることが条件で、入会時にプレゼンしてもらうなど総合的に判断する」と明言を避けた。
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