さまざまな業界や企業がAI活用に取り組んでいますが、金融業界は機械学習の導入が比較的進んでいる業界の一つといえるでしょう。株取引や株価予測、銀行窓口の対応などの自動化がその一例です。世界中の金融・経済情報などを扱う米Bloombergも、積極的に機械学習に取り組んでいます。
同社は、世界中の証券取引所から集めた1000億件を超える市場データを1日で処理していて、これはTwitter社が1日で処理する量の約200倍に当たるそうです(Bloomberg調べ)。合わせて、世界中の12万5000以上のメディアから200万件以上のニュース記事を取り込んで処理しています。これは膨大な量といえるでしょう。
そんなBloombergが最近特に注力しているのが自然言語処理の活用です。金融業界の自然言語処理といえば、銀行窓口におけるチャットbotの導入が思い出されますが、Bloombergでは膨大なテキストデータの意味を読み解くために自然言語処理を使っています。
同社はトレーダーをはじめ、世界中のユーザーに金融関連のニュースを配信するサービスを提供しています。自分の知りたいニュースを検索することもでき、例えばサービス上で「Bloomberg」と検索すると、関連するニュースがリスト化されて表示されます。1日平均で約1600万件のキーワードが検索されているそうで、検索されたキーワードと関連の高い情報をランク付けしたり、表示したニュースの意味を理解して要約したりするために機械学習や自然言語処理を活用しています。
いま話題のAI(人工知能)には何ができて、私たちの生活に一体どのような影響をもたらすのか。AI研究からビジネス活用まで、さまざまな分野の専門家たちにAIを取り巻く現状を聞いていく。
(編集:ITmedia村上)
上記のような事例をはじめ、同社の中で機械学習、自然言語処理、情報検索の戦略を主導しているのが、データサイエンス部門のグローバル統括責任者であるギデオン・マンさんです。マンさんは前職の米Googleでクラウドサービス「Google Colaboratory」を開発した実績があり、機械学習と自然言語処理の分野で30以上の出版物と20以上の特許を持っています。
マンさんによると、この10年ほどで自然言語処理の技術が進化したことで、より正確にユーザーのニーズに合った情報を素早く提供できるようになってきたそうです。次のように語ってくれました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR