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セブン銀行の新型ATM、実用化へ第一歩 顔認証で本人確認・口座開設 都内で実験開始

» 2019年10月29日 19時55分 公開
[ITmedia]

 セブン銀行は10月28日、顔認証技術に対応したカメラと、本人確認書類を読み取れるスキャナーを搭載した新型ATMを活用し、口座開設時の本人確認手続きを効率化する実証実験を都内で始めた。将来的には全国での正式展開を予定している。

photo セブン銀行の新型ATM

 顧客がATMの前に立ち、スキャナーに運転免許証をかざすと、カメラが顔画像を撮影し、スキャナーが読み取った顔写真と照合。一致すると、専用サイトにひも付いたQRコードを発行する。スマートフォンで読み取り、Web上で個人情報を入力すると申し込みが完了する。

 専用サイトに個人情報を入力した後、ATMで本人確認を済ませるパターンも選択可能。一連の手続きを終えた顧客には、2週間以内にキャッシュカードを発送する。

 対応する新型ATMは、セブン銀行本店(千代田区)、セブン-イレブン丸の内センタービル店(同)、セブン銀行 新宿歌舞伎町コーナー(新宿区)に設置している。実施期間は、千代田区の会場が10月28日〜12月20日、新宿区の会場が10月31日〜12月20日。

 利用できるのは、セブン銀行の口座がなく、日本国籍を保有しており、運転免許証を取得済みの顧客のみ。デビットサービス・ローンサービスの契約には非対応。

photo 実証実験の概要

QRコードリーダーなども搭載、実用化に向け交渉中

 セブン銀行は新型ATMを9月に発表し、既存ATMとの置き換えを段階的に始めている。2020年夏までに都内、24年度までに全国での入れ替えを終える計画だ。

 カメラとスキャナーの他、QRコードリーダーなども搭載。銀行口座からモバイル決済サービスの残高をチャージすることも技術的には可能だ。

 ただ、他の銀行や決済事業者と合意が取れていないことから、当初は口座への入出金や振り込みなど、既存ATMと同様の機能しか実装していなかった。

 同行の広報担当者は9月時点で、「各機能の実用化に向けて他社と交渉しており、合意が取れた機能から実装する。新型ATMが普及した段階で速やかにサービスインするために、先にATMの入れ替えを進めている」と説明していた。

 今回の実証実験により、まずは自社で顔認証技術の実用性を検証する。同行は「顧客の利便性や口座開設業務のコスト削減効果などを測り、これまで以上に安心・安全で便利な口座開設の実現を目指す」としている。

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