「AbemaTVは一つの節目に来た」 藤田社長が手応え 「会見生中継×恋愛ショー」は勝利の方程式か
「『AbemaTV』は一つの節目に到達した」。サイバーエージェントの藤田晋社長は、10月30日に開いた2019年9月期の通期決算説明会でこう強調した。AbemaTVの週間アクティブユーザー数(WAU)は6月に1000万人超えを記録し、その後も7~9月に複数回達成したため、確かな手応えを得たという。有料会員「Abemaプレミアム」の会員数は、第1四半期の約1.4倍となる51.8万人に増えた。先行投資によって制作した独自コンテンツが人気に一役買っているという。
会見のライブ配信に注力 「何かあったらAbemaが中継している」
藤田社長によると、WAUが伸びた大きな要因は「ニュース番組に力を入れ、注目度の高い記者会見を相次いでライブ配信したこと」。新元号の発表会見(5月)をはじめ、山里亮太さんと蒼井優さんの結婚会見(6月)、所属芸人の闇営業問題を巡る吉本興業・岡本昭彦社長の会見(7月)など、主要な会見を網羅したことが、幅広いユーザー層の獲得につながったという。
「会見だけでなく台風情報の配信などにも力を入れた結果、『何かあったらAbemaが中継している』と視聴者に想起してもらえる状態を作れた」と藤田社長は自信を見せる。
恋愛リアリティーショーが女子高生に人気
有料会員が伸びた理由は、恋愛リアリティーショー「オオカミちゃんには騙されない」シリーズなどの独自コンテンツが人気となり、「見逃した番組をお金を払ってでも見たい」との需要を喚起できたことだという。同シリーズは女子高校生を中心に支持を集めており、累計視聴数は1.5億に上る。第6弾のオンデマンド視聴率は約84%に達しているという。
「話題の会見を中継すると、視聴者は一時的に増える。その視聴者に継続的に見てもらうために、(番組の)ラインアップを整えている」と藤田社長は説明する。
詳細な金額は非公開だが、19年9月期のAbemaTVの売り上げに占める広告収入と会員収入の比率は6:4程度という。有料会員の伸びは想定を上回るペースだといい、「まだ言えないが、有料会員をさらに増やす取り組みを計画している」と藤田社長は意気込む。
20年9月期は、さらなる視聴者の獲得に向け、UI(ユーザーインタフェース)の改良を予定する。ユーザーが見ている番組に関連するオンデマンド動画をレコメンドする仕組みを強化し、視聴習慣をさらに定着させる。過去に放送したニュース番組をトピックごとに細かく切り出し、オンデマンド配信することも計画している。
藤田社長は「『何かあった時にAbemaTVを見る』という視聴習慣をより広げるには長い時間がかかる。5~10年かけて取り組んでいきたい」と語った。
増収・営業増益も、特損の影響で最終減益に
サイバーエージェントの19年9月期の通期連結決算は、売上高が4536億円(前年同期比8.1%増)、営業利益は308億円(2.2%増)と微増にとどまる。AbemaTVは増収したものの、先行投資額は203億円に上り、広告・ゲームなど既存事業の営業利益(計511億円)でカバーした形だ。
広告事業では新規顧客の獲得に成功し、ゲーム事業では「グランブルーファンタジー」「バンドリ! ガールズアンドパーティー!」などの売上が好調だったという。
一方、終了予定のサービスなどの減損損失95億円、本社移転などの費用28億円を特別損失として計上したため、最終利益は65.1%減の17億円に落ち込んだ。
業績予想はレンジ形式
20年9月期の通期連結業績予想は、売上高が4650億円(8.1%増)、営業利益が280億円~320億円(9.2%減~3.8%増)、最終利益が80億円~100億円(約4.7倍~5.9倍)を見込む。
業績予想に幅を持たせた理由は、広告事業とゲーム事業の先行きが不透明なため。19年9月期の営業利益見通しを1月に下方修正した後で、収益構造を改善し、7月に上方修正する――というプロセスを取ったことを踏まえ、混乱を防ぐ狙いもある。
20年9月期の出だしは、主力の広告事業で「広告主が市況の先行きに警戒感を持っているため、あまりよくない」(藤田社長)というが、ゲーム事業での新タイトル投入などによって成長を目指す。
【訂正:2019年10月31日11時05分更新 ※記事中の表現を一部改めました】
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