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「ヘリコプター基地局」で空から通信エリア構築、被災者のスマホ位置も推定 KDDIが実験

» 2019年11月06日 12時24分 公開
[ITmedia]

 KDDIは11月6日、小型携帯電話基地局を搭載したヘリコプターを使って上空から電波を発射し、屋外に通信エリアを構築する実証実験に成功したと発表した。エリア内では、携帯電話による通話とSMSを利用できた他、地上にある携帯電話の位置情報を推定できたという。結果を踏まえ、災害などで携帯電話の利用が困難になった地域への導入を目指すとしている。

photo 小型携帯電話基地局を搭載したヘリコプター

 ヘリコプターには無線設備に加え、電話をかけた際に着信する端末のIPアドレスを割り出す「呼処理システム」、携帯電話のGPS情報を取得する「ロケーションサーバ」などのモバイルコア設備を搭載。設備の総重量は約7キロで、スタッフがバッグに収めて担ぎ、機内に搭乗した。

photo 実験で使用した小型携帯電話基地局

 これらの設備を活用し、上空150〜400メートルから電波を発射。(1)他の基地局が発する電波と重複し、通信に不具合が起きないかを確認する、(2)通信可能な範囲を調査する、(3)通話・SMSをテストする、(4)GPSを基に、地上にある4G LTEスマートフォンの位置を推定する――といった実験を行った。

photo 実験の様子

 その結果、ヘリの周辺に約1.6〜2.0キロの通信エリアを構築することに成功。通話とSMSのやりとりの他、4G LTEスマホが存在する確率が高い地域を推定し、地図上に表示することもできた。そのため、陸や海からのエリア構築が難しかった被災地のカバーや、被災者の救助に役立てられるとの知見を得たという。今後は国や自治体と共同で実用化を目指すとしている。

photo 被災者のスマホの位置を推定する様子

 実験は10月23日〜11月6日に新潟県魚沼市で実施。同市の他、KDDI総合研究所と富士通も実験に協力した。魚沼市消防署は、推定した被災者のスマホの位置に基づいた遭難救助訓練を行った。

 KDDIはこれまで、ドローン基地局を使って通信エリアを構築し、被災者のスマホ位置を推定する実験に成功している。19年9月に台風15号によって千葉県の通信設備が打撃を受けた際は、千葉県沖に船舶型基地局を配置するなど、空や海から電波を届ける体制づくりに注力している。

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