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コラム
» 2019年11月07日 17時42分 公開

血液クレンジングに京都盛り上げツイート、ステマ騒動に学ぶSNSの自己防衛 (1/3)

10月はステマ疑惑が話題になった。「京都市盛り上げ隊」としてツイートしていたお笑いコンビ「ミキ」、血液クレンジングを繰り返し紹介していた芸能人たち、彼らはどこまで意図していたのか。

[本田雅一,ITmedia]

 10月からネットを通じた口コミマーケティングに関する話題が続いている。

 10月28日、吉本興業所属の漫才コンビ「ミキ」がツイートした内容が、京都市からお金が支払われているにも関わらず、広告であることを明記していない、いわゆるステマ(ステルスマーケティング)ツイートではないかと京都新聞が告発し、大きな騒動に発展した。

 「血液クレンジング」も大きな話題になった。10月16日、「血液クレンジングなる謎美容をお勧めされた」という一連のツイートが話題になり、翌17日に高須クリニックの高須克弥院長が「意味ねえよ。おまじないだよ」とばっさり。さらにバイラルメディアのBuzzFeedが、血液クレンジングを行っているクリニックの一部が多数の著名人を使った広報活動を行っていることについて、ステルスマーケティングの疑いがあると報じ、事態は一気に加速した。

 血液クレンジングを推奨するような情報発信をしていたとして名前が挙がったのは、市川海老蔵さん、高橋みなみさん、ISSAさん、仲里依紗さん、鈴木紗理奈さん、城咲仁さんなど。とりわけブログで46回も繰り返し紹介していたエッセイストのはぁちゅうさんは、ステマ疑惑をかけられてブログを閉鎖し、その後も火消しに腐心している。

 こうした著名人によるステマ問題は根深く、以前から繰り返し問題になっていた。どれも情報の非対称性、つまり著名人の地位を利用した営業と見なされがちだが、実際にはそれだけではない。こうした著名人による口コミの実態は多様だ。

トンデモ医療を無意識に推薦してしまう心理

 血液クレンジングは、採取した血液に医療用オゾンを混ぜて攪拌(かくはん)し、血液をきれいにしてから点滴で戻すというもの。静脈血は暗褐色をしているが、ヘモグロビンに酸素が結合すると鮮紅色になる。この様子を被験者に見せ、「血液がきれいになった」と説明していた。

 しかし、静脈血に酸素を混ぜれば赤くなることは、ごく当たり前の自然現象だ。そこに何らかの治癒や健康増進効果をもたらす意味はない。ところが、血液クレンジングを行っているクリニックの説明を見ると、あきらかにおかしいと思われる記述が並ぶ。

 「オゾン化された血液は、酸素を多くふくみ、抗酸化力が高い血液となります。その血液を再び体内に戻すことで、赤血球の酸素運動能力を向上させ、白血球の免疫力を高め、さらに血小板の凝固作用を抑制し、血液をサラサラの状態にします。治療時間は20〜30分程度で、自然治癒力を強化、抗酸化力の向上、細胞が活性化することを目的としています」

他のクリニックの説明でも「オゾン化した血液」といったフレーズが散見される

 「オゾン化した血液」や「白血球の免疫力を高める」など、怪しい言葉が散見される。血液がオゾン化とは、どういう状態なのか想像もできない。抗酸化作用から話を膨らませ、癌などにも効果があると書いている場合さえある。免疫はシステムであって、癌は免疫システムから逃れてしまう異常な細胞が発現する免疫不全の病気。抗酸化作用で免疫力を……の下りは表現として極めて怪しい。凝固作用を抑制することがどのような結果をもたらすのか、落ち着いて考えれば理解できるはずだ。いずれにせよ、こうしたキャッチコピーを掲載しているサイトが信用できないことは確かだ。

 しかし、通常の医療機関では扱ってもらえないような症状に悩み、自由診療(自費治療)のクリニックへと足を向ける人もいる。そして、思い込みや勘違いだったとしても「効果がある」と思えば、他人に勧めることもあるだろう。冒頭に挙げた“彼ら”がどのような意図で発言したか分からない以上、ステマと断言するのはなかなか難しい。

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