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» 2019年11月20日 16時13分 公開

ヤフー×LINEは「AI」で世界に勝てるのか? 必要なのは「タイムマシンから降りること」(2/2 ページ)

[西田宗千佳,ITmedia]
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「タイムマシン経営的」でない発明を生み出すことが成功の条件

 データを軸にしたビジネスは規模の経済であり、ヤフーとLINEは日本国内においては「勝ち組」だった。だが、米国・中国の「ワールドクラス」企業と比較した場合、人数規模でも投資規模でも勝てない。

 問題は「そこで一緒にやる」だけで戦えるのか、ということだ。

 そもそも、ヤフー・LINEと、米国・中国の大規模企業との規模の差は「数十倍」に相当する。仮に2社が共同であたってもまだ「桁が違う」状況であることに変わりはない。規模の経済で戦うならば、くっついただけではやっぱり変化はない。

 もちろん、そんなことは彼らも百も承知であり「単純な合算では勝てない」(川邊社長)という。一緒にならないのは規模的に不利だが、一緒になっても規模だけでは不利であることに変化はない。

 だとするなら、どうするのか?

 ポイントは「いかに戦える場所を探すか」だろう。単純な音声認識など、ストレートに数で勝負している部分で勝つのは難しい。「日本ならではの部分で」という話になるが、結局そこで、海外のサービスと戦える品質にならなければ、「日本向けに」と強弁しても意味はない。

 「GAFAの最大の脅威はユーザーに支持されていること。われわれも、彼らに日本市場から出て行ってほしいとは全く思っていない」と川邊社長は言う。

 すなわち「他の大手が提供しない部分」「他の大手からは出てこないサービス」をいかに素早く構築できるかがポイント、ということになるだろう。

 別の言い方をすれば、これは過去の「タイムマシン経営」が通用しない世界である、ということでもある。タイムラグを生かして海外のものに似せて作っても、技術と規模に優れる海外企業が後から入ってくれば、すぐにつぶされてしまう。単なる先取りでない発想でサービスを構築する必要がある。

 これはとても難しいことであり、日本企業がここ30年、(残念なことに)不得意としてきた部分でもある。いかに斜めからぶつかって戦うか、隙間を見つけて強固に入り込むか。そうした「スピード感を持った発想」が必要になる。AIというのはとても曖昧(あいまい)で雑然とした言葉だが、あえてその曖昧さを生かした展開を期待したい。

 実は、ヤフーとLINEについて、グループ企業のノウハウ流用でなく「自社での取り組み」を評価して紹介したのは、そういう点こそが新しい取り組みを生む、と思っているからだ。特にヤフーに関しては、「ソフトバンクグループが」という発想に縛られない動きがより重要になるのではないか。今回の発表で川邊社長・出澤社長という2人が前面に立ち、ソフトバンク側からもNAVER側からも関係者が壇上に立たなかったのは、そういう「2社が独自にできること」を強調したかったからではないか、と思うのだ。

 そこでのAI戦略として、「2社の顧客基盤を生かして分析データを他社と共有」程度のことで終わってもらっては困る。それは「2社やクライアント企業」には有利なことでも、ユーザー・消費者にとって有利なことではない。

 両社の蓄積したノウハウやスピード感のあるスタッフを使って「そこにタネがあったか!」と驚くようなサービスが出てくることを期待したい。それこそが、海外企業の規模に対抗できる唯一の方法論だ。

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