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メルカリの19年度上半期、最終赤字141億円 メルペイと米国事業への投資続く

» 2020年02月06日 18時58分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 メルカリが2月6日に発表した2020年6月期第2四半期累計(19年7〜12月)の連結業績は、売上高が前年同期比38.7%増の329億9300万円、営業損益が139億600万円の赤字(前年同期は36億5400万円の赤字)、最終損益が141億300万円の赤字(44億7500万円の赤字)と増収減益だった。

 フリマアプリ「メルカリ」の国内事業は好調で、単体での売上高は前年同期比20.0%増の265億円、営業利益は51.0%増の67億円に伸長した。だが従来と同様、メルカリの米国事業と、スマートフォン決済サービス「メルペイ」に積極投資した影響で最終赤字となった。

photo メルカリの小泉文明会長(=左)、長澤啓CFO(=右)

GMVが過去最高を記録

 国内メルカリ事業のMAU(月間アクティブユーザー数)は前年同期比24.0%増の1538万人。第2四半期単体でのGMV(流通総額)は20.0%増の1544億円となり、四半期単位では過去最高を記録。前年度の第3四半期から2期連続で減少していたGMVの立て直しに成功した。

 メルカリは昨今、在庫の健全化に向けて顧客の出品を促すキャンペーンを打ち、出品と購入のバランス調整を図ってきた。その効果で現在は出品が活発化し、商品在庫がそろってきたため、今後はさらなるGMVの拡大が期待できるとしている。

photo 国内メルカリ事業のGMVが大きく改善

米国メルカリ事業ではGMVが目標に届かず

 米国メルカリ事業の第2四半期単体でのGMVは、前年同期比46.0%増の1億2700万ドル(約140億円)。米国版のアプリに、出品物が売れやすい値段を自動で提案する機能、出品物の真贋を鑑定する機能、小さな商品を安価で配送するオプションなどを追加した効果もあり、前年同期から大きく伸びた。

 だが、メルカリが黒字化の目安として掲げている月間1億ドル(約109億円)の目標には届かなかった。GMVの拡大に向けては、まだ知名度に改善の余地があるといい、今後もメディア露出の増加などによって米国でのブランド認知を広げていく方針だ。

 リターンが少ないと判断した場合は、来年度以降は米国事業への投資額を現在の水準から落とす考えもあるといい、長澤啓執行役員CFO(最高財務責任者)は「成長はしているが、本当に黒字化と月間1億ドルが見えてくるのかきちんとレビューをする。投資が市場関係者から許容されるのかを見極めたい」と語った。

photo 米国メルカリ事業のGMVは目標に届かず

メルペイユーザーは600万人突破 Origami、ドコモとのシナジーで成長へ

 メルペイ事業は、ユーザー数が第2四半期の段階で500万人に達し、1月末に600万人を突破した。M&Aや他社とのアライアンス拡大にも注力し、1月末にはOrigamiの買収を発表。2月頭にはNTTドコモと業務提携を結んだ。

 今後は「Origami Pay」とサービスを統合し、地方を中心とする19万カ所の加盟店を迎え入れる。ドコモとは加盟店の共通化を進める他、メルペイで決済した顧客へのdポイント付与、メルペイと「d払い」の電子マネー残高/ポイント残高の連携なども実施。相互に顧客基盤の拡大を目指していく。

 これらの施策によって、販管費の合理化や、加盟店開拓に要する営業コストの削減などの効果も見込む。コストカットの一環で、採用活動も抑えるという。

photo メルペイ事業の今後の方針

 ただ、長澤CFOは「今年は勝負の年。自前での負担は減るが、一定の投資は続ける」と、19年度中は積極投資を続ける方針を明言。来年度以降については、米国メルカリ事業と同様、「事業の進捗(しんちょく)状況を判断して投資額を決める」と説明した。

 メルペイ事業の収益化に向けては、メルペイに3回以上の割賦などの新機能を搭載することを計画中。手数料以外の収益基盤も強化すべく、ドコモと共同で、決済・購買データなどを活用したデータビジネスにも取り組んでいく。

 小泉文明会長は「今回は力強いパートナーと連携することができた。今後は施策の質を上げ、発表したことをしっかりと形にしていきたい」と語った。

 20年6月期の通期業績予想は「投資フェーズにあり、損失額が拡大する可能性がある」として非公開としている。

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