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» 2020年02月06日 19時45分 公開

AI搭載の“走るスーツケース”誕生へ 視覚障害者の移動をサポート IBMら5社が共同開発 (1/2)

視覚障害者が利用しやすい「AIスーツケース」の開発に向け、IBMら5社が社団法人を設立した。6月にプロトタイプを使った実証実験を行う。

[周藤瞳美,ITmedia]

 日本アイ・ビー・エム(IBM)ら5社は2月6日、視覚障害者の移動をサポートする誘導ロボット「AIスーツケース」の開発に向けて協業すると発表した。視覚障害者に対して、移動に最適なルート、周辺の混雑状況、対話相手の状態などを音声や触覚で知らせるスーツケース型の小型ロボットで、プロトタイプを使った実証実験を6月に都内で行う予定だ。

 本体には荷物を入れられる他、距離センサー、加速度センサー、画像認識用カメラ、通信機能などを搭載。位置情報と地図情報を基に目的地までのルートを探したり、映像やセンサーの情報から障害物を認識して避けたりと、周囲の状況をリアルタイムに判断しながら、視覚障害者をサポートするという。

写真中央が、発起人兼技術統括者の浅川智恵子氏(IBMフェロー 米国カーネギーメロン大学 客員教授)

実用化に向け、先端技術を集結

 開発に取り組む企業は、IBMの他、電子部品メーカーのアルプスアルパイン、オムロン、清水建設、三菱自動車工業。5社は2019年12月に一般社団法人「次世代移動支援技術開発コンソーシアム」を設立済みで、それぞれの専門分野を生かしながら、22年11月30日まで活動する予定だ。

 具体的には、触覚インタフェース技術はアルプスアルパイン、顔画像認識技術はオムロン、測位・ナビゲーション技術は清水建設、AIやクラウド技術はIBM、モビリティ技術は三菱自動車がそれぞれ担当する。クラウドやAIなど多様な技術を使うため、各分野に強みを持つ企業が協力することになったという。

 福田剛志代表理事(日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所所長)は、「(一般社団法人を設立したのは)長期的な視点で、自由度の高い活動ができるようにするためだ」と語った。

浅川智恵子氏が発起人

浅川氏

 AIスーツケースの発起人で技術統括を務めるのは、自身も視覚障害を抱える浅川智恵子氏。同氏はIBMフェローであり、米国カーネギーメロン大学の客員教授も務めている。

 そのため、5社だけでなく、カーネギーメロン大学もプロトタイプの第3号機の開発に取り組んでおり、今後は同コンソーシアムと共同で開発や実証実験を行っていく。AIスーツケースの開発や実験を通して、実用化に向けた課題を洗い出す考えだ。

 浅川氏によると、視覚障害があると、1人で安心して街歩きを楽しめないと感じることが多かったという。そこで、スーツケースにセンサーを搭載してロボット化し、移動を誘導してもらうというアイデアを思い付いたとしている。

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