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AI搭載の“走るスーツケース”誕生へ 視覚障害者の移動をサポート IBMら5社が共同開発(2/2 ページ)

» 2020年02月06日 19時45分 公開
[周藤瞳美ITmedia]
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「電話やキーボードも、障害者向けの技術が元になっている」

 ロボットをスーツケース型とした理由は、同氏が、スーツケースを持ち歩くと、移動の際に障害物を避けやすいという経験をしてきたため。スーツケースであれば自然に持ち運びできるだけでなく、荷物も入れられるため、利用時のメリットが大きいと考えたという。

 しかし、実用化をするには多くの壁がある。「屋内外の地理情報の収集や、障害物などの物体認識には、大量のデータが必要。ハード面では、小型化・軽量化・低電力化が求められる。こうした壁を乗り越えるには、業種を超えた企業がアカデミアとともにコラボレーションしていかなければならない」と浅川氏は提言した。

 同コンソーシアムとカーネギーメロン大学は、この考えのもと、AIスーツケースの実用化に向けたビジネスモデルと環境づくりに取り組む。その一環で、6月の実験は商業施設で行い、その後は空港やスタジアム、美術館などへ実験の場を広げるという。

 浅川氏は、「AIスーツケースは、視覚障害者という少数のユーザーのために開発されるものだが、私たちが当たり前に使っている電話やキーボードなどは、障害者向けに開発された技術が元になっている」と説明。「目が見えない、耳が聞こえないというユニークな特徴が、これまでイノベーションを創出してきたともいえる。AIスーツケースも、さまざまな分野に発展していくことを願っている」と語った。

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