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ソフトバンク、5Gサービスは3月下旬開始 “アンリミテッド”を検討中 楽天参入には余裕の構え

» 2020年02月07日 19時10分 公開
[井上輝一ITmedia]

 ソフトバンクの宮内謙社長は、同社のスマートフォン向け5Gサービスを3月下旬に始めると、2月7日に開いた決算発表会の中で話した。詳細はあらためて発表会を設けるとしつつ、「“アンリミテッド”にならざるを得ない」など、容量無制限プランを検討していることを示唆した。

ソフトバンク宮内謙社長

 宮内社長は、2019年に5GのプレサービスとしてARデバイスでのスポーツのリアルタイム観戦や、リアルタイム分析、映像配信を行ってきたことを説明した上で、「ソフトバンクはこれまでも『ウルトラギガモンスター+』の大容量プランを提供しているが、5Gでライブを観戦するような世界になってくると、もっとデータを消費する世界になる」と、必然的に容量無制限プランが求められるという見解を示した。

 5Gサービス開始後は5Gに経営資源を集中させた上、4Gに割り当てられている周波数帯の一部を5Gへ転用することを総務省と協議しながら、21年までに人口カバー率90%を計画しているという。

 4月にキャリア事業への本格参入を控えている楽天モバイルに対しては、「ソフトバンクにはソフトバンクブランド、ワイモバイルブランド、LINEモバイルブランドの3つのブランドがある。楽天がどんな形で出てきても、いずれかですぐに対応できる。もしくは、対応しないかもしれない」と余裕を見せる。

同社の全スマートフォンブランドで累計契約数が純増しているという

 「実はソフトバンクブランドのスマートフォンプランはこの2年ほど一切変えていない。最近もKDDIが容量無制限プランの価格引き下げを行ったが、対応する必要はなかった」と、コンシューマ向け通信事業の好調を背景に、他社の出方を待つ姿勢を見せた。

コンシューマー向け通信事業と法人向けソリューションが好調

 ソフトバンクが同日に発表した2019年度3月期第3四半期の連結業績(19年4月1日〜12月31日)では、売上高が前年同期比4.7%増の3兆6179億円、営業利益が9%増の7951億円、最終利益が3.1%増の4366億円と増収増益。コンシューマー向けのスマホ契約数の増加と、法人向けソリューションの増加が主な要因としている。

2019年度3月期第3四半期の決算短信

 これを受け、通期の予想を売上高と営業利益についてそれぞれ200億円(4兆8000億→4兆8200億円)、100億円(8900億→9000億円)の上方修正を発表した。ただし、ZホールディングスとLINEの経営統合に伴う法人税195億円を第3四半期に計上するため、純利益については期初の予想通り4800億円と据え置いた。

PayPayが「核になる」

 新規事業については、モバイル決済サービスの「PayPay」に対し、「(新規事業拡大の中では)われわれの核になる」と宮内社長は期待を掛ける。

最初の「100億円キャンペーン」以降も着実に登録ユーザー数が増え、2月時点で2400万人を突破したという

 「PayPayの強みは“超アジャイル開発”で、タクシー配車機能などのミニアプリがどんどん生まれてくる。ユーザーにとって欠かせないアプリになることを目指している」(宮内社長)

 PayPayは、2020年中に金融サービスに本格参入する計画を1月に発表している。同サービスはいまだ赤字(1月時点)ではあるが、「金融サービスで収益モデルを確立したい」とした。

 また、ZホールディングスとLINEの経営統合によってLINEのモバイル決済「LINE Pay」との関係がどうなるのかという記者団からの質問に対しては「本当は言えたらいいのだが、今は言えない」と回答を控えた。

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